ソフトボックスの既成概念を超える | Profoto (JP)

ソフトボックスの既成概念を超える

15 11月, 2017

執筆者:: Jens-Linus Lundgren-Widén

ソフトボックスは多くのフォトグラファーに用いられているツールです。しかしだからと言って、ソフトボックスを使うと独創的なライティングができないということはありません。この事実を証明するために、アンドレア・ベルーソ氏に依頼し、ソフトボックスのみを使った4つのセットアップでファッション撮影を行ってもらいました。

私たちの中でソフトボックスを知らない人はいないでしょう。ソフトボックスは最も人気が高く、最も幅広く使われるライトシェーピングツールです。しかし、よく目にする機材だからこそ、多機能で創造的なツールであるという事実を忘れてしまいがちです。

ソフトボックスには、たくさんのサイズと形がラインナップされています。また様々なポジションに設置し照射することで、多様な効果を生み出すことができます。モデルの横に置いてもいいですし、上部から照射することもできます。モデルに直接照射するだけでなく、少しずらして照射して光が落ち込む部分を効果的に使うのも良いでしょう。ソフトボックスを使えば、様々なライティングが実現できるのです。

これを証明するために、私たちはライティングの権威であるアンドレア・ベルーソ氏に依頼しました。既成概念にとらわれない形でソフトボックスを使いながら、4つのファッション撮影を行ってもらいます。

アンドレアはどんな挑戦にもひるみません。今回も、ユニークなアイディアを思いつきました。まず、 Phase One XF と TetherPro USB 3.0 SuperSpeedを使って、テザー撮影の準備を整えました。サイドライトとして、トップライトとして、ハードな光を作り出すために、ソフトなバックライトを演出するためと、色々な目的でソフトボックス用いました。

では、実際にはどんな撮影を行ったのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。

サイドライトとして使用する

2つの異なるサイズのソフトボックス(RFiソフトボックス 30x180cmOCFソフトボックス 30x90cm)をモデルの両サイドに置き、ムーディーでドラマティックなファッション撮影用の光を作りました。左側の大きい方のソフトボックスでは柔らかな光を、小さな方ではより集光した光を作り出したいと思っていました。写真の大部分を意図的に露出アンダーの状態にして、シルエットを浮き立たせます。

右側に適正露出を得るため、RFiソフトボックス30x180cmにRFiスリップマスク 7cm 30x180cmを取り付けました。ストリップマスクは光の幅を狭め、引き締まった印象のライティングを可能にします。これをメインライトとして使うことで、モデルの肌色を正しく表現し、衣装の構造と細部を捉えます。非常に限られた部分のみを照らし出します。

左側には、OCFソフトボックス 30x90cmにブルーのOCFカラーフィルターを取り付け、4枚の写真に共通するイメージと調和するように色彩を加えます。背景のライティングには、カラーフィルターを装着したサイドライトとバランスをとるために、B2オフカメラフラッシュにブルーのOCFフィルターを付けて用いました。テザー撮影を行うことで、後から撮影データをコンピューターに移す手間も省けるだけでなく、撮影と同時進行で自分のノートパソコンから写真の仕上がりをチェックできます。色の確認に大きく役立ちました。

使用機材
1 x D1モノライト
1 x RFiソフトボックス 30×180cm + RFiストリップマスク 7cm 30×180cm
1 x B1オフカメラフラッシュ
1 x OCFソフトボックス 30×90cm
1 x B2オフカメラフラッシュ
2 x OCFカラーフィルター (ブルー)

 

硬い光を作り出す

ソフトボックスは柔らかい光を作り出すと思われがちですが、光の硬さや柔らかさは光源のサイズによります。ですから、RFiソフトボックス 60x90cmを遠くからモデルに照射すれば、とても硬い光を作ることができます。

インナーディフューザーとアウターディフューザーを取り外すことで、より拡散の少ない光を作り出しました。拡散された光が必ずしも柔らかい光であるわけではありません。光の硬さを決めるのは、光源のサイズです。(今回の撮影の場合、ソフトボックスとモデルの距離によって相対的なサイズが決まります。)

柔らかい光と拡散された光の違いを理解してもらうために、私はいつもそれぞれ言葉の反対を思い浮かべてもらっています。「硬い」は「柔らかい」の反対で、「集光」は「拡散」の反対の意味の言葉です。

洋服のカラーと調和を図り、私はB1オフカメラフラッシュにローズピンクのカラーフィルターを取り付けました。完成写真を見ていただくと分かるように、ソフトボックスを被写体に近づけて取った場合よりも影が鋭くなっています。また、モデルの身につけているジュエリーと洋服のコントラストもはっきり描き出されているのがわかるでしょう。

使用機材
1 x D1モノライト
1 x RFiソフトボックス 60x90cm
1 x B1オフカメラフラッシュ
1 x OCFカラーフィルター (ローズピンク)

 

トップライトとして用いる

トップライトはファッション写真にドラマティックさを加えるとともに、衣装に影を加えて写真に面白みを出します。ライトの方に向いているものは全てライティングされ、床の方を向いている部分の衣装には暗さが出ることから、写真に独特の印象を生み出します。服のシルエットが際立ち、写真の中の全てのものが魅力的な雰囲気に仕上がります。

RFiソフトグリッド50⁰ 90x120cmを取り付けたRFiソフトボックス 90x120cmの1灯のみをモデルの上部に設置するだけで、こんな仕上がりになります。床に映る影ははっきりと見えますが、モデルの顔面の影と同じように拡散されて柔らかです。ソフトグリッドが光の幅を狭め写真にコントラストを加えます。

このセットアップにおいても、洋服のカラーとの調和を図るために、OCFカラーフィルターのライトラベンダー色を使います。

使用機材
1 x D1モノライト
1 x RFiソフトボックス 90x120cm + RFiソフトグリッド50⁰ 90x120cm
1 x B1オフカメラフラッシュ
1 x OCFカラーフィルター (ライトラベンダー)

 

バックライトとして用いる

これは実は私が考えたアイディアではなく、私の最初の師匠であり、偉大なフォトグラファーであるBardo Fabianiから教わった方法です。私は洋服のイメージに合わせて少し調整を施したのみです。

このセットでは、ソフトボックスの光をより柔らかくするために、モデルの前面ではなく後ろ側からライティングを施します。さらに、モデルの背後にセットした最大のソフトボックス(RFiソフトボックス120x180cm)の光を白色のカポックでバウンスし、反射した大きな光をモデルに当てます。

モデルに照射する直射光はB1のみです。B1には、モデルの衣装のカラーに合うようにスカーレット色のカラーフィルターをつけて、モデルの髪に色のついたハイライトを少し加えました。

RFiソフトボックス120x180cmはそれ自体が背景としての役割を果たすと同時に、モデルの体や髪、服の端を強い光を当てながら背景に溶け込ませます。フラットフロントディフューザーを装着することで、光を広げ、ソフトボックスの下の角が写りこまないようにしました。

使用機材
1 x D1モノライト
1 x RFiソフトボックス120x180cm
1 x B1オフカメラフラッシュ
1 x OCFカラーフィルター (スカーレット)

 

この記事の4つの写真は、全てソフトボックスをメインライトに撮影されたものです。ほとんどの背景光は、B1オフカメラフラッシュにOCFカラーフィルターを付けて作りました。

撮影場所:ストックホルム(スウェーデン)

アンドレア・ベルーソ氏のその他の写真を見る:http://www.belluso.com/

執筆者:: Jens-Linus Lundgren-Widén

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