チャン・キット、B2とOCFビューティーディッシュを使って香港の恋物語を描き出す | Profoto (JP)

チャン・キット、B2とOCFビューティーディッシュを使って香港の恋物語を描き出す

29 3月, 2018

執筆者:: Seth Chandler

独学で写真を学んだチャン・キットは、彼の故郷でもある香港を中心に名声を高めているフォトグラファー。その美しい光で被写体を率直に捉える写真が評判を呼んでいます。自然光を使いながら、必要な時にはストロボの光を自然でやわらかく加工しながら使っています。

彼の1日がかりの撮影に密着し、Air Remote TTL-Fを使いながら、プロフォトのストロボの自然な光を4つのロケーションで活用してもらいました。「最初にこのお話を頂いた時、香港代表として選んで頂いたことをとても嬉しく思いました。スタイルやロケ地は自分で決めて良いとのことだったので、その自由を存分に活かして撮影したいと思いました。」

朝の光 – 影のバランスを取る

早朝、最初のショットのロケ地には、新界にある自宅近くの野原を選びました。「美しくて、シンプルな背景で撮影したいと思っていました。複雑なものは要りませんでした。」

片側からフレームに明るい朝の光が降り注いでおり、補助光なしではモデルの顔が完全に影に入ってしまうことが、テスト撮影でわかりました。そこで、顔の影のバランスを調節しながら、自然な雰囲気を維持するライティングが必要となりました。

B2とOCF ビューティーディッシュをモデルの左手に置き、新製品のAir Remote TTL-Fを使ってTTLで自動調光します。ビューティーディッシュを使うことで、柔らかで自然光のような雰囲気を作り出すことができました。

「スタジオライトを使っていると一目でわかってしまうような仕上がりは避けたいと思っていました。」と彼は言います。

TTLを使うことで、思い通りの写真が撮れるようになったとも言います。「カメラを正しい位置に構えさえすれば良いのです。やわらかく自然な光をビューティーディッシュが作り出してくれました。」

日中の太陽光:HSSで動きを止める

「4つのショットの中で一番のお気に入りです。」とキットは顔を輝かせながら言います。「雰囲気や、表情が気に入っています。難しい状況でしたがやりがいのあるショットでした。」

撮影は、香港のランドマーク的存在ペニンシュラ・ホテルなどが立ち並ぶ、尖沙咀のサリスベリーロードで行なわれました。歩行者向用信号が青になった瞬間、モデルとアシスタントが道の真ん中に走り、セットアップを行います。モデルがキットに向かって歩く横を、アシスタントがOCFビューティーディッシュをつけたB1Xを持ちながら並行して進みます。キットは後ろ向きに歩きながら、30秒間で約10回シャッターを切りました。

B1Xは太陽と同じ方向から照射し、できるだけ自然になるようにしました。「B1Xは光量が安定していて、影もバランスが取れています。 ビューティーディッシュを使うことで、モデルに自然な光を照射できました。」

結果をチェックして改善すべきところを見つけ、光が変わるとすぐに同じ手順を何回も繰り返しました。「40分くらいかかりました。15回はやりました。」

ライトをセットしてすぐに撮影

この撮影では、機材の使いやすさが大きなメリットとなりました。HSSとTTLを使って撮影しているので、B1Xの光量はAir remote TTL-Fによって全てコントロールされます。「アシスタントは、何もセットする必要はなく、気にすべきことといえばライトを正しい位置に保持することでした。なぜならTTLを使っていたからです。」

Air Remote TTL-Fを使って撮影が楽になったことで、クリエイティビティーをさらに発揮できるようになりました。「考えなければならないことが減りました。ライトを正しい角度にセットアップしたら、あとはモデルの顔や動き、表情に集中できます。ライトをセットするだけでいいのです。そんなわけで、このショットはもっとも難しいショットであったと同時に、もっとも簡単なショットだったと言えます。」

頭上から降り注ぐ太陽光、ビューティーディッシュのやわらかい光を使って、ありのままで、カジュアルで、まるで晴れた日に散歩に出かけた本当のカップルのような姿が捉えられました。

「HSSを使うことで、カップルの動きを止めることができました。写真の中で、彼らはポーズをとっているのではなく、早足で歩いているんです。」

ゴールデンアワー:素早く考える

ゴールデンアワーの撮影では、太陽がとても早く沈むので、一発で正確な光量を得て、素早く撮影をこなさなければなりません。「冬に撮影したので、1時間もせずに日が沈んでしまいます。ですから、本当に素早く撮影しなければなりませんでした。」

背後からとても明るい光がさしていたので、モデルの顔はスタジオライトなしでは影になってしまいます。そこで、 B1XとOCF ビューティーディッシュを上部から直接照射し、やわらかく、自然な光を照射しました。

ここで、キットは映画のポスターのような写真を撮ろうと決めていました。「ロマンティックなポーズを撮りたいと思っていました。男性が女性の頬を支え、女性が男性の肩に手を回します。「風が女性の髪を揺らしていることにお気づきでしょうか。被写体と光だけでなく、それ以上のものを捉えたいと思っていました。」

このショットでもHSSを使い、シャッタースピードは 1/4000秒、F値は2.2としました。「モデルにフォーカスしたライティングをしたいと考えました。」と女性のアゴと、男性の腕の下の影を指差しながら、キットは説明します。

ブルーアワー:街の中心のロマンス

最後のショットでは、開発の進んだディストピアを、ライティングの力でロマンティックな夢のような情景に変えます。香港有数のショッピングエリア、旺角の中心部にあるビルの最上階に上がり、そこからはしごを登ると、塗装の剥がれかかった薄汚れた屋上に着きました。高くそびえる周囲の建物を背景に、もう一度ロマンティックな映画ポスター調の写真を撮ることを決めました。

「幸いにも、三脚を持ってきていました。シャッタースピードを下げ、背景を明るく見せることができました。一番難しかったことは、撮影の間モデルに動きを完全に止めてもらうことです。」「上部からライティングし、街灯の光のような雰囲気を出しました。2、3くらいの微かな出力です。ビューティーディッシュが光をとてもやわらかくします。」

「高出力にできなかったのは、背景のビルがとても暗くなってしまうからです。背景にノイズが入ることは避けたかったので、ISOを高くすることもできませんでした。

クリエイティビティーに多くの時間を使用

一日で4つのロケーション、4つのショットを撮影しましたが、Air Remote TTL-Fのおかげで、セッティングではなく、クリエイティビティーの発揮に力を割くことができたと言います。OCF ビューティーディッシュと一緒に使うことで、美しく自然な光が作り出され、交差点での撮影にも、日が沈む中での撮影にも対応できました。

「一番良かったことは、Air Remoteを使って、撮影時間を短縮できたことです。光の角度を決めたら、出力や光量については考える必要がありません。そのため、モデルやロケ地の表情に集中できました。ペニンシュラ・ホテルの前では、テスト撮影はできませんでした。歩いて、そのまま撮影したのです。

OCF ビューティーディッシュも重要なサポート役となったと言います。「ロケ地を移動しながら、何度もリフレクターを開いたり閉じたりするのは大変ですが、OCF ビューティーディッシュは必要な時にとても使いやすく、かつ美しい光を作り出します。重量もそれほどないので、持ち運びも簡単です。そして、とても頑丈です。」

キットは、機材についてあまり考える時間を取られたくないのだと言います。「機材には、ただ私をサポートしてくれればいいのです。ものを書く時もそうです。大事なのはペンではなく、頭の中にあるアイディアでしょう。撮影機材もそのような存在であって欲しいのです。」

執筆者:: Seth Chandler

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