コマーシャルフォトは、しばしば大掛かりなスケールになることがあります。しかし、どんなに複雑な広告撮影や独創的なアイデアでも、Geoff Angには問題になりません。Profoto スタジオジェネレーターを使って光で写真を描き出します。
広告/コマーシャルフォトグラファー Geoff Angは、実践的で臆せずチャレンジすることで知られています。複雑でテクニカルな撮影にも対応できる彼は、高い評価を得ています。その評価もあり、BBH上海(クリエイティブ・エージェンシー) は Geoffに、ペイント(塗装)会社 Dulux の撮影をオファーしました。
今回の撮影のコンセプトは、理論的には単純なものです。ペイントを宣伝するのに、被写体にペイントする(色をかける)のです。このアイデアはBBH上海のクリエイティブチームから出たもので、Geoffはスケッチをいくつか見ました。
「彼らは、自分たちがどんな写真を望んでいるのか明確に把握していました。正反対のものがいかに惹かれ合い、そして調和していくのか、という非常に具体的なストーリーがあったのです」
「実際の撮影は、少し複雑でした。他の広告撮影と同様に、時間が課題になりました。Geoffとチームは、2日間しか撮影できませんでした。なので Geoffは、初日に被写体とメインセットを撮影するスケジュールを立てました。2日目はカラフルなペイントの液体を撮影する一日となりました」
「1日に2つの広告撮影をしなければならなかったので、巨大なスタジオを利用しました。2つのセットを作ったので、1つ目の広告撮影の後、素早く切り替えができました。広告はそれぞれ、モデルをセットに入れて5〜6時間かけて撮影しました。なので初日は10~12時間の撮影となりました」
Geoff は、撮影の前日に、セットがまだ完成していない段階で、プリライト(事前のライティングテスト)を行う必要があったと説明しています。撮影の当日には、カメラをセットアップするだけで良いので、まっすぐセットに向かうことができました。
ライティングのセットアップには、4台の Pro-8a Air を使用しました。最初の1台はフロントライトとして、2灯の Proヘッド Plus を取り付けてジャイアント シルバー 210 と ジャイアントリフレクター 240 を装着しました。他の2台のPro-8a Airには、それぞれ1灯の Proヘッド Plusを取り付けて ズームリフレクター を装着し、被写体の上の巨大な白いリフレクターに光をバウンスさせました。そして、4台目のPro-8a Airには、1灯の Proヘッド Plus を取り付け RFi ソフトボックス 30cmx180cm を装着して、被写体の上からフィルライトとして光を当てました。
「今回のような撮影でとても重要なのは、カメラとライティングの一貫性です。異なる日に撮影した異なる要素を、同じ写真のなかでシームレスに調和させ、ワンショットで撮影したように見せなければなりません」
最大の課題は、適切なスプラッシュの形状を作ることだったとGeoffは説明します。理想のスプラッシュを実現するために、彼が呼ぶところの「液体を操るエキスパート」と一緒に、あらゆる種類のバケツやペール缶を使い、工夫を凝らして作業しました。
「この撮影でのライティングのアプローチは、均一でクリーンなイメージにすることでした。壁の色は、均一かつクリアに見えるようにして、微かなエッジライトを効かせて、背景の壁から、被写体やペイントとの境界を作りました」
「ペイントの広告撮影なので、色の正確さ、そしてショットごとのフラッシュの一貫性が求められました」
撮影終了後、数時間に及ぶポストプロダクション(編集作業)が待っていました。Geoffは、何百ものスプラッシュを編集して、モデルの衣装に調和する完璧なものに仕上げるのは大仕事だったと言います。美しい形とシルエットのスプラッシュを作りたかったからです。そして最後に Geoff Angから、できるだけ多くをカメラで仕上げてしまうこと、というヒントをもらいました。
「時間をかけて光を作り込み、カメラで完璧に仕上げる。撮影した段階ですでに素晴らしい写真なら、レタッチという”天使の粉”をかければ、どれほどの素晴らしさか想像してみてください!」
Geoff Angの写真は 彼のウェブサイトでご覧いただけます。