Joe McNally 氏 - 光速のインタビュー | Profoto (JP)

Joe McNally 氏 - 光速のインタビュー

05 7月, 2022

執筆者:: Olle Nordell

著名なフォトグラファーの多くは、ある時期に大衆から脱却して名を成した人たちで、ファッション、ポートレート、風景、音楽、スポーツなど、特定のジャンルでそれを成し遂げてきました。ですが、フォトジャーナリズムと広告の両方で活躍した人はほとんどいません。だからこそ、McNally 氏は特別なのです。70歳を目前にして、ますます意欲的に活動し、難しいミッションを抱えながら、世界中を飛び回っています。技術的な困難も見事な写真に変えてくれる、今もなお頼もしい存在です。環境光もストロボ光も使いこなし、一日の終わりにはどんなときも、最高の一枚を携えて私たちの前に現れます。 ロサンゼルスのある早朝に、Joe McNally氏を引き止めて、光について、過去と現在について、ざっくばらんにお話を伺いました。

 

2022年と2002年のあなた自身で最も違うことは何ですか?


20年前、デジタルが業界を席巻し始め、私はデジタルフォトグラファーに転向しました。カメラだけでなく、フォトグラファーとしての働き方やメディアの役割など、技術的な転換期の真っ只中にいたのです。当時は、常に仕事を探していて、何か戦略を立てようとしていました。デジタル化される前の時代には、作品は印刷され、ニューススタンドに1か月間留まり、人々がそれについて話をしていました。今はまったく異なります。撮影した写真は Instagram にアップされ、人々がそれを目にするのはほんの数秒です。ですが自分で発信できるチャンネルは増えています。2002年当時は、編集者の承認をもらい、仕事を受ける必要がありました。今は自分で決めることができるのです。今の方がずっと幸せです。

  

 

キャリアの中で最も重要な気づきがあった瞬間はいつですか?


一度に限定することはできません。私にとっては、そうした瞬間の連続でした。私はいつも、写真を撮る機会のあった人を通して成長してきました。たとえば Tony Bennett 氏や Leonard Bernstein 氏など。すばらしい人物から影響を受けてきました。フォトグラファーは卓越した存在の目撃者です。この仕事は Jay Maisel 氏が言った有名な言葉のように「経験を盗むライセンスを持つ」仕事なのです。出会いのたびに学びがあり、気づきの瞬間がありました。そのすべてが積み重なって、今の私に生かされています。

 

 

プロを目指すアマチュアフォトグラファーにアドバイスはありますか?


まずは目撃者となるために大切なことを整理しましょう。そのためには、世の中に目を向け、たくさん本を読み、物事に対して敏感でなければなりません。写真とは誰かと会話することであり、そのためには面白いものでなくてはいけません。そして、面白くあるためには、どこか破壊的であり、慣習の 1つや 2つを破らなければなりません。新しい視点や、知らなかった、あるいは完全に理解していなかった真実を示すこと。そしておそらく最も重要なのは、写真を撮らずにはいられないほど美しいものを見つけることです。私にとって、それはダンスです。

 

 

今あなたが影響を受けている人はいますか?


今はウクライナのすべてのフォトグラファーです。彼らの活動は非常に重要だと思います。個人的には、Carol Guzy氏と Daniel Berehulak氏から刺激を受けています。彼らの写真は今何が起こっているかを知るために不可欠であり、写真には歴史の流れを変える力がありますから、紛争地帯に足を踏み入れて真実を伝えようとするフォトグラファーは、人類にとって意義深い仕事をしているのだと思います。

 

 

作品に「完成」はありますか?どうしたら「完成」と思えるのでしょうか?


そうですね、予算は常に存在しています。資金が無制限であることはめったにないので、予算によってどれだけビジュアルを追求できるかが決まります。しかし、それを別にすれば、スキル、直感が重要です。自信を持つことは重要です。光を理解し、機材を熟知し、常にやり遂げる能力を身につけることで、自信は生まれます。その自信によって、作品の仕上がりを判断することができるのです。ただ、わかるようになります。

 

 

あなたにとって光とは?


光は写真の言語です。私たち人間は、光に目を向けるようにできています。目は明るいところに行くものです。ですから、写真の中で光がどのように作用しているかは、その写真において非常に重要な要素なのです。「写真」という言葉は、ギリシャ語を語源としており、文字通り「光で書く」という意味であることを覚えておいてください。ライティングが悪いと、あるいは光に対する理解が足りないと、誰でも醜く写るものです。新しいシーンや人物の顔をどのように照らすべきか、その光の感覚を養う必要があります。それがすべてといえるでしょう。

 

 

短かいインタビューが終わると、Joe は颯爽とワークショップに向かいました。別れの挨拶のとき、彼の声からはある期待が伝わってきました - このインタビューに時間を費やすよりも、彼はカメラを片手に街へ繰り出したいようでした。McNally氏は仕事として、写真を言葉で表現するのが上手ですが、やはり写真を撮ることが生きがいなのです。だからこそ、今の彼があるのでしょう。

 

 

執筆者:: Olle Nordell