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日本の美を色彩豊かに描き出す

21 2月, 2018

執筆者:: Profoto Japan

「日本の美」と「色彩の美」をテーマに、フォトグラファーの神谷知和氏が、アートとウェディングの融合が切り開く新境地を表現する作品を Profoto A1 を使って撮り下ろした。

フォトグラファーとして18年のキャリアを持ち国内外のコンテストで多数の受賞歴を持つ神谷氏は、写真と映像をプロデュースするケーアールケープロデュース株式会社に所属。「想いをカタチに。カタチに遊びを。」というコンセプトのもと、商品企画開発やPR撮影など会社のブランディングを手がける一方、指名制ウェディングフォトグラファーとして活動している。

いま神谷氏が最も力を入れているのが、ウェディングフォトの新たな価値創造にチャレンジする「Art×Wedding Photo」の企画。写真の強みや伝える力を根本的に見つめ直し、ウェディングの世界で再構築することをテーマに、自由で斬新な発想でアーティスティックな1枚を追求している。

今回、「世界最小のスタジオライト」Profoto A1をベースに使った撮り下ろしを依頼された神谷氏は、「日本文化」と「色彩美」をキーワードに、江戸情緒あふれる古い街並みが川沿いに残る千葉県香取市佐原で、二人の和装女性モデルを被写体に選び撮影を敢行。

「写真にとって光(ライティング)は最も重要な要素のひとつ。被写体の色味やディテールは、光の恩恵を受けることで最高に輝くことが出来る。 だからこそ撮影に際し、光質、光量、光の方向と範囲を常に頭の中で描き、求めるイメージに近づけていく。様々なバリエーションを作り出せるProfotoの光は、いつも僕の創造力を最高に掻き立ててくれます。」と話す神谷氏。

今回の撮影では、「光」を最大限に生かすために、衣装として艶やかな振袖や、メイクでは色味を施したペイント、小道具に色鮮やかな番傘など、豊かな色彩を随所に取り入れた。

撮影は早朝から、千葉県香取市佐原にあり現在も地元の方に愛用されるレトロな銭湯「金平湯」からスタート。女湯と男湯を二面の撮影スタジオのように使って、ライティングを素早く組み立てて撮影を行っていった。 1ショット目は、白無垢姿のモデルを被写体に、赤い花模様のペイントと赤い口紅が印象的なビューティーショットを撮影。

メインライトとしてソフトバウンスにドームディフューザーを取り付けた Profoto A1 を使い、フィルインライトとして下からOCFソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto B2 1灯で綿帽子や顎下の影を薄め、レフ板で側面から光を起こした。被写体の美しさを引き出すやわらかな光を手軽に作り出すことができるProfoto A1とアクセサリーの組み合わせを神谷氏は評価した。

2ショット目は、銭湯の定番とも言える大きく描かれた富士山をバックに、舞い降りる折り鶴を捉えた。2次元の富士山背景画の前でポージングする被写体と折り鶴の立体感とのアンバランスさが、よりダイナミックな印象を導くことに成功した。

メインライトとして右手前側からアンブレラ トランスルーセント ディープ Mを取り付けた B1X を照射し、被写体の背後からB2 1灯を加えることで被写体を背景から浮き立たせた。B1XとB2を閃光時間が非常に短くなるフリーズモードに設定することで、被写体まわりで舞う色鮮やかな折り鶴を完璧に空中で止めて捉えた。

次のショットでは、富士山をバックに、大正ロマン風の振袖を身にまとったモデルを撮影。日本伝統色の藍色がかった富士山と紅色の番傘とのコントラストが美しい作品に仕上がった。銭湯の中に振袖を着た女性が佇んでいる妙なミスマッチ感を色味とともにコケティッシュに演出した。

メインライトとしてOCFソフトボックス60x90cmを取り付けた B1X を使って、被写体をやわらかい光で描き出し、サイドライトとしてOCFソフトボックス30x90cm(ソフトグリッド付き)を取り付けたB1Xでエッジを描き出した。さらに、バックライトとしてドームディフューザーを取り付けたA1で背後の富士山を照らし出し、フィルインライトとしてA1をオンカメラで正面からダイレクトに発光した。

次に、非常に味わい深い木製のロッカーやマッサージ機、頭から被るタイプのドライヤー(全て今も現役!)が印象的な女湯の脱衣所に場所を移して、ツーショットを撮影。まるで昭和の時代から時間が止まってしまったかのようなレトロな風合いを、アンニュイな雰囲気のモデルとともにA1の光で演出した作品。

左手側の白い振袖を着た女性のメインライトとして、アンブレラ トランスルーセント ディープ Mを取り付けた A1 を左手側から当てることで、窓から入る柔らかい光を作り出した。右手側の緑色の振袖を着た女性のメインライトとしては、右手側からドームディフューザーを取り付けた A1 を当てた。さらに、フィルインライトとしてオンカメラのA1を天井バウンスさせて加えた。

「このショットでは A1 3灯で撮影を行ったが、電車移動も苦にならないほどコンパクトな機材量でも、現場で迅速に妥協のないクオリティの光を作り出すことができる。また、A1はオリジナルアクセサリー類や、その他のシェーピングツールとの組み合わせで表現方法が様々に広がり楽しめる。」とA1を高く評価する。

お昼過ぎには、千葉県香取市佐原にある菖蒲の名所として知られる水郷佐原あやめパークに移動。毎年六月には150万本ものハナショウブが咲き乱れるが、この撮影時は十一月。衣装を艶やかな引き振袖にチェンジし、水面と蓮の緑が作り出す幻想的な雰囲気を生かした撮影を行った。

こちらのショットは、屋外のため自然光を有効的に利用した。左手奥から逆光気味の太陽光をメインライトとして用い、右手側をレフ板で起こし、さらにオンカメラのドームディフューザー付きのA1をフィルインライトとして加えた。

「自然光のみでも撮影が可能なショットだが、被写体の艶メイクの色味を出すため、フィルインとして加えたA1の光が効いている。普段自然光メインで撮影する方でも、A1が1灯あるだけで、本来の色味を出したり、影を起こしたり、アクセントを付けたりと、撮影の幅が確実に広がるのでは。いかにもストロボを当てましたというきつい感じになりにくく、環境光と自然に馴染む光を出すA1ならではの使い勝手の良さを感じた。」と神谷氏は言う。

水郷佐原あやめパークでは、園内水路をサッパ舟と呼ばれる小舟に乗って巡りながら、ちょうど目線の高さにある花菖蒲や蓮を楽しむことができる。その小舟に乗った二人を橋の上から捉えた。太陽光が全体的に優勢なショットだが、船の先端の縁にA1を隠すように仕込んで、被写体の顔をフィルインとして照らし出すことでメイクの色味を出した。

「手のひらサイズのA1は、手軽にどこでも仕込むことができるので、ここでも撮影の新しい可能性を感じた。」と神谷氏は言う。

水郷佐原あやめパークでの撮影のハイライトとも言えるショットは、小舟上のモデル二人を硬めの光でくっきりと描き出すと同時に、水面に映り込む景観とともに、スモークマシンで霧がかる幻想的な世界観を演出した。

太陽光を生かしながらも、左手前側からマグナムリフレクターを取り付けたB1Xで座ってポーズを取る被写体を照らし出し、左手後方からテレズームリフレクターを取り付けたB1Xで立ってポーズを取る被写体を照らし出した。ここではオンカメラのA1は、トランスミッターとして用いた。

「今回初めてテレズームリフレクターを使った。土手の部分から距離のある水路の小舟の被写体に向けて照射する必要があったが、遠くまで力強い光が届くのでとても助かった。」と神谷氏は言う。

最後に、水郷佐原の古い街並みが残る小野川沿いに場所を移し、十五本もの番傘を用いて今回の撮影プロジェクトのアイコニックな作品を撮影。撮影チームは、刻々と沈み行く太陽と闘いながら、ライティングを正確に詰めていった。

鮮やかさを最大限に表現できる時間帯を見極めライティングすることで、色とりどりな番傘の中でも存在感を見せるモデルの艶やかな表情を色彩美とともにドラマチックに描き出した。

船着き場の階段にずらりと並べた十四本の番傘の一本一本に、ドームディフューザーを取り付けたA1を仕込んで照らし出した。傘とA1の距離を離しすぎると光が傘から漏れ出しすぎてしまうため、傘とA1の間の距離も慎重に調節していった。

番傘を持って立ってポーズを取る被写体に向けて、左手の木の後ろからOCFソフトボックス 60x90cmを取り付けたB1Xで照射すると同時に、右手後ろ側からアクセサリー無しのB1Xで右手側の着物や帯のエッジを描き出した。

番傘の間に座ってポーズを取る被写体には、右後ろの生成り色の番傘から透過する光がエッジライトとして効いている。面白いことに番傘がアンブレラ トランスルーセントの役割を果たしている。また、周囲の番傘から漏れ出る光でも照ら出されている。

普段からProfoto B1XやB2をウェディングの前撮りで活用する神谷氏は、バッテリーストロボの新しいラインアップとして加わったProfoto A1を次のように評価する。

「Profoto A1の最大の魅力は、小型ならではの機動性と分かりやすい操作性にあると感じた。屋内外様々なシチュエーションで、さらに限られた時間帯の中で撮影することが多いため、素早いセッティングは不可欠。自然光をメインに使って撮影する際にも、A1を1灯持っていると、キャッチライトを入れたり影起こしをしたり、レフ板代わりにも使えるので、一人で撮影する場合に非常に重宝する。また、B1XやB2などこれまで使用してきた機材と組み合わせてシームレスに使えるのも気に入っているし、トランスミッター Air Remote TTLとして使えるのも嬉しい。ラインナップされているアクセサリー類を組み合わせることでやわらかで滑らかな光も作り出せるし、発光面の距離を離すことでハードライトとしても使用出来る。撮影時に1灯常備しておくだけで非常に心強い。」

すでに次の作品撮影の構想を描いている神谷さんは、ウェディング前撮り撮影の新しいプランとして商品化も目指していきたいという。ウェディング撮影の新境地を切り開くケーアールケープロデュース株式会社に今後も注目したい。

撮影チーム:
ディレクター&フォトグラファー:神谷 知和
フォトクリエイター:兪 泰鉉
フォトライティング:山隈 祐介
撮影風景フォトグラファー:潮 洋美
撮影アシスタント:田部 和紀、佐藤 亮祐

ビデオグラファー:中村 友洋、小堀 新悟
ビデオ編集:平澤 佑太
ビデオライティング:三尾 悠介

モデル:Masumi Yoshida、Yana Kawai
ヘアメイク&スタイリスト:Marico、Sakurai
着物着付け:Gallery さくら

衣装協力:innocently、原宿シカゴ
ロケ地:金平湯、水郷佐原あやめパーク、水郷佐原

執筆者:: Profoto Japan