腕時計撮影の5つのヒント | Profoto (JP)

腕時計撮影の5つのヒント

20 6月, 2019

執筆者:: David Bredan - aBlogtoWatch

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aBlogtoWatch のシニアエディター David Bredanです。これまで7年以上もの間、腕時計業界に携わり、数万枚もの写真を撮影してきました。被写体は、スイス、ドイツ、日本やハンガリーで製造された美しく素晴らしい腕時計の数々です。この経験から、腕時計撮影のヒントを皆様にご紹介できることを嬉しく思います。このヒントを参考にすれば、より効率的な方法で、その美しく洗練されたデザインをカメラに収めることができるでしょう。では、はじめましょう!

ヒント 1: 被写体を知る

腕時計は、高度な技術が詰まった、極めて複雑でありながら洗練された被写体です。時計が誕生して以来、試行錯誤を繰り返し、技術が進歩してきたからです。腕時計を撮影するには、経験から学ぶ必要があります。具体的には、被写体となる腕時計の特徴に応じて、撮影の仕方に大きな違いが生じると言っても過言ではありません。

ガラスの種類は、アクリルガラス、ミネラルガラス、あるいは、サファイアガラスですか? ガラス表面には、角度によって青みがかって見えるARコーティングが施されていますか? または、ARコーティングがなされておらず、ガラス表面に周囲のものが写り込んでいますか? ガラスは、非球面か球面ですか? ケースは、ブラッシュ仕上げ、ポリッシュ仕上げ、あるいは、その両方でしょうか? パーツの素材は、ステンレススチール、チタニウム、18金ゴールド、プラチナ950などのシルバー、または、伝統のあるイエローゴールドですか? それとも、特別なカラーリングが施されていますか? メーカー独自の合金や表面加工処理がなされていますか?

このほかにも気をつけることはありますが、これらのユニークな特徴は、腕時計撮影において非常に重要なファクターとなります。ベストショットを撮影するにあたっての必要なテクニックやソリューションは、これらの特徴に左右されるからです。スイスの高級腕時計業界では、多い年で、2,700万種類もの腕時計を製造しています。つまり、この組み合わせは無限にあります。

とはいえ、ソリューションがないわけではありません。私は、ニコン D810と、最近のお気に入りの Profoto A1 を使い、この4年間で8万枚以上の腕時計を撮影してきました。この経験から言えるのは、できる限り多種多様な腕時計を撮り、その写真を取捨選択し、編集することです。必要なら、家族や友人から腕時計を借りて、様々なデザインの腕時計をカメラに収めましょう。美しい記録を残すことができれば、きっと喜んでくれるに違いありません!

ヒント 2: 使用機材を知る

腕時計は静物ですが、撮影自体はせわしなく疲れる作業かもしれません。大人気のノベルティが数分でなくなってしまうようなトレードショーでは、ノベルティをもらうだけではなく、会場をくまなく見て回り、その合間に新作の腕時計を身につけたモデルの撮影も行います。このため、良い写真を撮るためには、機材のことをよく知っておく必要があります。

自由自在に光を操る重要性については、このあと解説しますが、まずカメラやストロボの設定を適切に行うことが大切です。腕時計撮影では、シャドーを多めに作り、ハイライトを抑える傾向にあります。このため、RAW形式で保存することが重要です。しかしながら、設定をきちんと行い、適正露出を得ることも忘れてはなりません。露出アンダーの場合、シャドーのディテールだけではなく、ムーブメントの歯車やプレートの間のスペースなどのメインパーツが黒つぶれしてしまいます。露出オーバーの場合、ケース、ベーゼルや針が白とびするか、サファイアガラス表面に周囲のものが写り込んでしまい、その極端に明るいイメージは編集で修正するのが困難です。

このようなわけで、もともとカメラに内蔵されている露出計は、写真のクオリティにあまり関係ありません。信頼できる機材を使用して、それを熟知することが大切です。Profoto A1 の大きな操作ダイヤルは、使い勝手が非常に良く、ストロボの光量を微調整するのも簡単です。このため、撮ったばかりの写真をレビューして、反射とシャドーの絶妙なバランスをとりながら、瞬時に設定を行うこともできるのです。

ヒント 3: 環境を知る

本来なら腕時計は美しい被写体です。とくにコントラストが効いたイメージは見事です。洗練されたポリッシュ仕上げのケースや繊細なパーツは、それらの特徴が際立つような美しいライティングが必要ですが、やりすぎは禁物です。撮影の際に重要なのは、腕時計のケースに写り込みそうなものを極力下げること、部屋やロケーションのディテールに気をつけること、そして、自由自在に光を操ることです。窓、鏡、天井の照明などは、とくに注意が必要です。最悪の場合、あらゆるものが写り込み、何時間ものレタッチ作業を要します。繊細な彫りや塗装が施された文字板や、ムーブメントに組み込まれた細かなパーツへの写り込みをすべて取り除くのは非常に根気のいる作業で、決して楽しい仕事ではないでしょう。

ヒント 4: 自由自在に光を操る

高級腕時計への反射率や反射色は、その精巧な作り、高品質な塗料や表面加工処理などから、100万通り以上と言えます。

しかし、パワフルなストロボがあれば、思い通りにカメラを設定できます。つまり、低いISO感度、速いシャッタースピード、小さい絞り値で撮影できるのです。とはいえ、きちんと撮影しようとしたら、この設定にする必要があるでしょう。ISO感度が低いと、ダイナミックレンジが広くなり、あとからシャドーとハイライトを調整できます。高解像度カメラを使用する場合、シャッタースピードを速くすることが必須条件となります。たとえば、ニコン D810の場合、シャッタースピードが1/125秒以下だと、シャープさに欠けます。マクロショットやディテールショットの場合、開放値やそれに近い値で撮影すると、レンズの特性で被写界深度が浅くなります。このような撮影では三脚が必要ですが、パワフルなストロボを使用するほうがより賢明です。

ウォッチフォトグラファーの私にとって、これまでに受けたアドバイスの中でもっとも大切なのは、ストロボを使用することです。それは撮影のやり方を変えただけではなく、イメージの仕上がりも見違えるようになりました。ソフトボックスの光や、グレーの壁を使ったバウンス光は、パワフルでソフトな光を作ります。腕時計にはソフトライトが似合います。ハードライトは、ファセット加工やポリッシュ加工などが施されたケースやガラス表面に反射しやすく、残念な結果に終わります。一方で、ソフトライトは、腕時計を印象的に見せることができるのです。

ヒント 5: オンカメラ・フラッシュを使う

これまでにご紹介したヒントに確信が持てないあなたに、最後のヒントを送ります。オンカメラ・フラッシュを使用する方法です。オンカメラ・フラッシュは、その優れた携帯性が特徴です。腕時計のサイズは小さく、アングルによって最終的なイメージに大きな差が生まれます。すなわち、それぞれの腕時計に適したアングルを探すために、カメラポジションを変える必要があります。スタジオ撮影のようにカメラを三脚に装着してフル装備で臨むのもいいですが、パワフルでスマートなオンカメラ・フラッシュがあれば、手持ちでも快適に撮影できます。

ボーナスヒント!

腕時計についた指紋はマイクロファイバークロスで拭き取り、きれいな状態で撮影しましょう。一般的に、腕時計の針を10時8分前後に合わせると文字板が美しく見えます。

この腕時計撮影のヒントをお楽しみいただけたでしょうか。実験的に数多く撮影をこなすことで、最高の一枚を撮ることができます。しかし、前述の条件や特性を覚えれば、効率的にセットアップでき、撮影そのものに専念できるでしょう。最適なライティング、構図、フォーカスを探してください。

 

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