Alexia Sinclair が創り上げる想像の世界 | Profoto (JP)

Alexia Sinclair が創り上げる想像の世界

04 5月, 2015

執筆者:: Alexia Sinclair

オーストラリアのファインアートフォトグラファー Alexia Sinclair氏が、無尽蔵のイマジネーションを持っていることは、すでにおわかりいただけたと思います。どのようにして彼女のイマジネーションは写真となるのでしょうか?彼女が語る魅惑の制作の裏側をご覧ください。

「難しくなくていいの、難しくしているだけなのよ」どうやら、この言葉は私が言ったようです。一瞬、口をついて出た言葉ですが、舞台裏のドキュメンタリーに収録されていなければ、ずっと忘れていたと思います。私が言いたかったのは、古い格言にある “Life is a journey, not a destination”(人生とは旅であり、目的地ではない)といういうことです。もちろん目的地に到達するのはとても嬉しいことですが、それまでの旅を楽しむことこそが大切だと思うのです。

では、その旅を思いながら、私の作品”Into the Gloaming”(イントゥ・ザ・グローミング) を見てみましょう。

 

 

古い英語に疎い人のために説明すると、”gloaming”(グローミング)とは、夕暮れのやわらかな光が心を包んでくれる時間帯のことです。夜の始まりは、想像力が掻き立てられます。もしかしたら(少なくとも私は)木の幹に隠れた秘密の扉や、家くらいに大きなキノコなんかを想像するかもしれません(想像してしまいます)。マジックアワーと呼ばれるのも納得です。何でも可能だと思える、そこが私たちのスタート地点です。

作品 “Into the Gloaming” は、想像の世界への旅です。最終的な作品は、ただパーツを組み合わせただけではありませんが、まずは分解して考えるのが最も簡単な方法です。

 

セット

撮影全体を通して、ここが一番大変だったと思います。粘着性のある素材に印刷するのは初めてだったんです。インクがどう反応するか?どれくらいのダイナミックレンジになるのか?まったく新しい領域に踏み込みました。もしこれが、単純な平面の壁であれば、こんなドラマは生まれなかったでしょう。ですが、私はチャレンジするのが好きなので、先に合成しておいた写真をブックケースに巻きつけてゆがませ、内と外の2つの世界を融合させたいと思ったのです。

舞台裏のドキュメンタリーをぜひご覧ください。私がどこからキノコ(写真右下)を調達したのか、信じられないかもしれません。このトンネルは、第二次世界大戦中に、アメリカ政府が製造した軍需品を保管するのに使用されていたもので、現在では、この全長600mの廃線になったトンネルでキノコが栽培されています。

 

寓話の絵本

本とお城は、作品の主役です。それらは、世代を超えて受け継がれてきたものです。物語が進行していくのは、本の中です。もちろん、これは本物の寓話の絵本ではありません。これは18世紀の古文書で、城の模型を作るために安く手に入れたものです。当初は、時間短縮のために市販の城を調達しようとしたのですが、フランス人が言うように、ある種の "je ne sais quoi "(らしさ)が必要だったのです。結局、数日かけて、私が思い描いた城の模型を手作りで作り上げました。

 

ドレス

ドレスは、再帰的なメタファーのひとつです。ストーリーテラー(語り手)自身が作品に没頭するためには、ドレス自体が作品である必要がありました。布にプリントしてみたものの、今度はもっと凝ったものを作ってみようと思ったんです。そこで地元のツタやユリを採り入れたんです。スタジオで植物をセットしたプレートを撮影して、大判プリンター(エプソン9900)でベルギーリネンに印刷しました。

ツールを最大限に活用するには、他の視点から考えるのが大切です。もちろん、最終的な作品を撮影するためにツールが必要ですが、小道具や衣装、セットの制作など、他のことにも使ってみてはどうでしょうか?

 

撮影時のライティング

植物はまったくもって変幻自在で、光で包み込むと非常に美しく、さまざまなハイライトとシャドウを作り出します。これを踏まえて、3つのポイントを意識しました。

  • 主役を照らす。キーライトとして、グリッド付き ビューティーディッシュ をフラグして照射。
  • 背景のバックライトとして、HR ソフトボックス オクタ型 210cm をセット上部にブームで設置し、キーライトより1~1.5段ほど弱くして照射。
  • 魅せたい場所を照らす。グリッド付き Proヘッド を、キノコや、ツタ、花、本を照らすリムライトとして使用。

 

 

 

 

Alexia Sinclair氏の ”Into the Gloaming” プロジェクトについての6つのブログ記事のうちの最初の記事です。次回は約1ヶ月後に掲載予定です。

彼女の作品をもっと見たい方は、彼女の ウェブサイトA Frozen Taleプロジェクトをチェックしてみてください。

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"Into the Gloaming"機材リスト

Profoto Pro-8a 2400
キーライトとフィルライトのジェネレーター。

Profoto Pro-B2 1200
キッカーライトのジェネレーター。コケやキノコ、ツタ、本などをリムライトとして照射。

Profoto ProHead
4x (1 キーライト, 1 フィルライト 2 キッカーライト)

Profoto ソフトライト リフレクター ホワイト
キーライト。カメラ左のショット。

Profoto HRソフトボックス オクタ型 210cm
背景のフィルライト。キーライトの11.5段下の出力。セット上部にブームで固定。

Manfrotto 425B メガブーム
オクタ型のブームに使用。

Manfrotto スーパーワインドアップスタンド
Alexia Sinclair氏による記述なし。

Phase One IQ280
80MPのデジタルバックにより、圧倒的なディテールを実現。

Phase One 645DF+
Alexia Sinclair氏による記述なし。

Pea Soup Colt 4 Turbo
撮影現場で使用されたスモークマシン。

執筆者:: Alexia Sinclair