Jesper Grønnemark が撮る写真の特徴は、被写体やロケーション、そして独特のアングルを通して表現されるパワーとスピードです。スポーツとアクションを専門に活躍する Jesper は、未知の領域にもまったく恐れを感じていません。今回の撮影では、B1X を手に新たな世界を発見します。
スリル
飛行機の扉が開き、速くなった心臓の鼓動と全身を駆け巡るアドレナリンを感じながら、Jesper は外を覗きました。はるか 4,000 m 下に地上が見えます。その時がやってきました。チャンスは1回、シャッターも1回だけです。Sony A7R II を握る手に力をいれながら、仲間とともに飛行機の外にジャンプします。落下時間は45秒。3、2、1…
限界
スポーツ写真でできると思われていることの限界に常に挑戦し続けてきた Jesper Grønnemark は、数年前には想像もつかなかったような成功を手に入れました。初めてのスカイダイビング体験は一目ぼれではなかったようです。そして今、自分のクリエイティビティを磨くためにもう一度挑戦します。なぜまた挑戦するのか不思議に思っている方もいることでしょう。その答えは、そうする必要があるからです。Jesper は限界を押し広げていくためなら、自分を厳しい状況に追い込むことに抵抗はないのです。
計画、そして計画変更
このようなプロジェクトはどうやって実現させればよいのでしょう?簡単にお答えするなら、計画を立てることができる人物が必要です。今回は Michael Boe Laigaard に白羽の矢が立ちました。Michael には、プロジェクトに必要な人材探しが任せられました。彼が見つけてきたのは、フリーフライのデンマーク代表チーム FLUX です。飛行機から飛び降りることと正確にコントロールされた落下にかけては右に出る者はいません。
ジャンプの前に、Jesper はスカイダイビングチームのライフスタイル風ポートレートを撮りたいと考えました。飛行機も含めて、めったに撮れない被写体だったからです。ポートレートの撮影には、B1X 1台と OCF ビューティーディッシュ シルバーを使って被写体に個性とエッジを表現しました。
当初の計画は全員がパラシュートを使い、Jesper がカメラを持って Benjamiin が Profoto B1X をカメラの左に掲げるというものでした。こうすることで空中を移動するダイバーたちの姿をとらえやすくなると考えたのです。しかし、ジャンプの直前になって、風のために当初の計画は危険すぎるという判断がされ、急きょフリーフォールに変更されました。この変更によって、撮影は Jesper にとってより厳しいものとなりました。時速 200 km の落下をとらえるためのジャンプは1回、チャンスは1回になってしまったのです。
照明では、B1X 1台と OCF マグナムリフレクターを使ってダイバーを照らし、よりスタジオ撮影に近い光を作り出しました。そして TTL で的確な露出を素早く作り、HSS を使うことで空の美しい色を損なわずにダイバーを引きたてるというのが彼の計画でした。
落下
今だ!空中を落下しながら、Jesper は上空から近づいてくるスカイダイバーに気づきました。カメラを構えた瞬間、冷静さと落ち着きが戻ってきます。撮影時の手順は Jesper の体にしみついていて、このような状況でもアドレナリンに勝る力をもっているのです。1回だけしかシャッターを切れないなら、その1回でいい写真を撮るしかありません。スカイダイバーが頭を下にして落下しているところでシャッターを切ると、その後すぐにパラシュートが開いて着陸です。良い写真が撮れたことを全員が願います。
結果
勤勉さと少しの犠牲は必ず報われることを Jesper はまたしても証明してくれました。この撮影では計画に膨大な時間がかけられたにも関わらず、計画を変更しなければなりませんでした。しかし、最終的にはそれが良い結果につながりました。Jesper は、雲を見下ろして頭から落下するダイバーという、思い描いた通りの写真を撮影することに成功したのです。頭が上を向いている方が安全なのですが、スカイダイビング体験の感情をとらえる時、安全という言葉は浮かばないでしょう。
クリエイティブチーム
フォトグラファー:Jesper Grønnemark www.gronnemark.com
動画:Kasper Sveistrup www.frame2film.com
スカイダイビングチーム:FLUX www.facebook.com/FLUXfreefly
プロジェクトリーダー:Michael Boe Laigaard