プロを目指すフォトグラファーのための14のアドバイス - Zhang Jingna | Profoto (JP)

プロを目指すフォトグラファーのための14のアドバイス - Zhang Jingna

17 8月, 2015

執筆者:: Zhang Jingna

この記事を読んでいる方の中には、すでに何年もの経験を積んだ専業フォトグラファーもいれば、これから写真を始めるという方もいらっしゃると思います。しかし、自分がどのステージにいるかに関わらず、他の人がその過程で学んだことを聞くのは、とても役立ちます。そこで今回は、ファッションフォトグラファーの Zhang Jingna氏による「プロを目指すフォトグラファーのための14のアドバイス」をご紹介します。

 

皆さん、こんにちは!これまでの5つの記事では、写真撮影のプロセス私が愛用しているライトシェーピングツール、そして ファッションフォトグラファーになるためのヒント をご紹介してきました。最終回となる第6回は、ファッション撮影のフォローアップと、プロのフォトグラファーになるまでの道のりをお話したいと思います。

目的地にたどり着くまでの道のりは人それぞれですが、多くの人が同じように悩んだり、ジレンマに陥ったり、落とし穴にはまったりしています。私の考えが、プロへの道がどのようなものであるかを示す一助となれば幸いです。皆さんのご意見、ご感想をぜひお聞かせください!

 

1) 学び備える

この見出しは馬鹿げているように聞こえるかもしれませんが、ほとんどの人は、学習を始めたばかりの頃は、自分が何をしているのか分からないものです。

初めてのカメラで、初めての撮影をした日、カメラを箱から取り出してシャッターを押すと、"No Card " とエラーが表示されました。

私はもとより実践的に学んでいくタイプなので、物事に飛び込んで学んでいくことが好きです。しかし、何か新しいことを始める前に基本的な理解を深めておくと、期待感を持って物事をよりスムーズに進めることができるということを学びました。初めてのことに挑戦する前に、ヒントやハウツーを検索してみてください。一見悪いと思われるアドバイスの中にも、たいていは良いアドバイスがあります。

 

2) 今あるもので学ぶ

私が最初に撮影したのは、自分の写真、友人の写真、そして妹の写真でした。普通の人を撮影して、魅力的な写真を撮ることができれば、美的感覚やスキルアップの面で正しい道を歩んでいると分かります。撮影が上達すると、モデルではない人でも良い作品が撮れるということで、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるようになるでしょう。

私がカメラを買った後にまず購入したのは、中古のホットライト(定常光)でした。どのストロボを買えばいいのか、どのレンズを選べばいいのか、疑問は尽きませんでした。私が購入した 18-55mmのキットレンズは、新米のフォトグラファーには比較的使い勝手が良いもので、ホットライトを使ってさまざまなライティングの実験をすることができました。私はまずライト1灯での撮影をマスターしました。初期の作品の多くは、そのライト1灯だけを使って、実家のリビングで撮影をしたものです。

 

3) 誠実であること、やりたいことをやること

私が初めてモデル事務所のテストを受けたのは、アシスタントをしていた人の紹介でした。そのフォトグラファーは、高齢者のポートレートを撮影しており、私は彼の作品に興味があり、撮影がどのようなものか知りたいと思い、彼のアシスタントに志願しました。ある日、彼はモデル事務所所属のモデルとの撮影をセッティングして、私に何か自分で撮影するように勧めてくれました。彼が撮影を終えた後、私はセットアップの時間をもらいました。そのモデル事務所が私の写真を気に入ってくれて、それ以来、継続して女の子を派遣してくれるようになったのです。

自分が純粋に興味のあることをすること。複雑な意図や下心を持って物事を行ったり、相互の好意を期待したりしないこと。

人は自分が大切にしているものに、純粋に関わりたいと思ってくれる人のことは忘れないものです。そして、あなたにぴったりのものが出てきたときに、あなたのことを思い出してくれるはずです。そうやって、チャンスが生まれるのです。

 

4) 自分を尊重してくれる人と働く

最初のコマーシャルクライアントは、台湾のメルセデス・ベンツでした。私は19歳で、このレベルの広告の仕事の撮影について何も知りませんでしたが、Ogilvy のチームはリスペクトとプロ意識を持ち、撮影した写真の1枚がレファレンス・ムードボードに選ばれました。私の年齢と経験不足にもかかわらず、仕事はスムーズに進み、作品も美しいものに仕上がりました。

クライアントとアーティストがお互いに尊重し合うことが大切です。若くて実績のない新人のうちは、なかなか難しいものです。簡単なことではないかもしれませんが、常に自分と自分の仕事を尊重してくれるクライアントを選ぶことです。そうでなければ、不適切な扱いをされたり、他人の失敗の責任を負わされたり、生まれたばかりの自分の評判を守れなくなってしまします。初期の頃は、このような挫折から立ち直るのは至難の業です。

自信をもって結果を出せる仕事を選び、本当に上手くできるのか事前にテストをすること。毎回成果を出すことで、確かな評価を得ることができるのです。

 

5) 誰よりも懸命に働く

当たり前のようですが、フリーランスの場合、十分な時間があるため、ファッションパーティーや人脈作りなどで、気が散ってしまいがちです。

自分では一生懸命やっているつもりでも、もっと頑張る余地があるのが普通です。このことは、駆け出しで、必要なだけの仕事をする余裕があるときには、より一層当てはまります。努力は経験値にダイレクトに影響を与え、専門性やスキルを向上させます – スタッフやモデルと仕事をして、チーム全体のマネジメントをし、人脈を作り、信用を築いて、評価を得る - 仕事の量が多ければ多いほど、そのクオリティが上がります。量なくして質は得られないのです。

 

6) 自分のスタイルを貫く

 

私が初期に受けた最高のアドバイスのひとつは、自分のスタイルと作品をあきらめないことでした。多くの新人フォトグラファーがそうであるように、私はファッション雑誌の煌びやかなページを見て、自分の作品は「エディトリアル」ではないのではないか、代わりに何か同じようなものを撮ってみたらどうだろうかと思ったのです。

あるスタイリストに言われたのは、そんなの関係ない、流行っているものを撮るのは誰でもできる。でも、クライアントが私を雇いたいと思うのは、私の作品を見たからだと。キャリアをスタートさせるのは難しくなるかもしれませんが、流行に流されるのは避けたいです。実際は、私はそのおかげで楽にスタートできました。ニューヨークに来た当初は、他の人と同じように撮ろうとする方が大変でした。

あと、これを頑固さや人の話を聞かないということと混同しないように。謙虚であり、受容的であること。誰にでも耳を傾けること。自分にとって重要な情報は何か、きちんと判断すること。思いもしない意外な人からも真実が見えてくるものです。

 

7) ライティングを習得する

 

世の中にあるすべてのライティング機材やセットアップについて知っている必要はありませんが、素晴らしい作品を作るために、得意としておくべき、いつでも使えるライティングがいくつかあります。

私は、ホットライト1灯を使用した撮影から始めて、1つの光源の使い方を学びました。トレーシングペーパーやバーンドア、リフレクターなど、簡単に手に入るシェーピングツールを使って撮影しました。

設備の整ったスタジオで撮影するようになってからは、さまざまな ライトシェーピングツール を使って、お気に入りを探していました。私は、ソフトボックス オクタ型 の豊かな光と影、大型のアンブレラ の均一性、ビューティーディッシュ のコントラストの質、そして ソフトボックス ストリップ型 の柔軟性に惚れ込みました。

ポートレートやタイムレスなイメージ作りにはソフトボックス オクタ型、全身のファッション撮影には大型のアンブレラ、クローズアップやビューティー撮影にはビューティーディッシュ、キーライトにもリムライトにもなるソフトボックス ストリップ型 は汎用性が高く、とても気に入って使っていました。それぞれ忘れないように書き留めていました。クライアントや編集者が何かしらのイメージを真似したいときに、ヘアメイクやスタイリング、あるいはライティング、それらの組み合わせが原因でうまくいかないことがあっても、私はいつでも自分の得意なセットアップに立ち返ることができます - 光が完璧であれば、美しい写真に仕上げることができるのです。

具体的に何を購入すればいいのかと聞かれることもありますが、それは答えられません。一人一人、撮り方が違うからです。それぞれのライトシェーピングツールを試して、撮影したい被写体によって、それらがどのように光をシェーピングして、影響を与えるかを学びます。そのライティングに慣れてきたら、他のいろいろなライティング構成を試してみてください。そうして自分のセットアップを構築していきます。自分に何が合っているのか決めるのは、自分自身なのです。

 

8) ブランディングをする

 

ブランディングにはいろいろな側面があります。ビジュアル面はデザインされ、イメージ面は管理されます。

一番大事なのは、いい仕事をすること。当たり前のように聞こえますが、環境、ストレス、自己満足は、人々の選択、期待、成果物に影響を及ぼします。

お金や誰かのために、作品を妥協しないこと。もちろん、どんなに気をつけている人でも、どうしようもないことはあります。そんな時は、それを教訓として、問題のあるクライアントや人とは二度と仕事をしないことです。

最高の作品を実現することが、フォトグラファーとしての最優先事項であることを忘れないでください。

 

9) ビジネス、マーケティング、ネットワーキング

 

人脈作りでは、本物の人間関係を作ること。よく、ファッション業界に入るにはどうしたらいいか、人脈を作るにはどうしたらいいか、自分を売り込むにはどうしたらいいか、と聞かれます。私は、どれも積極的にやろうと思ったことはありません。私の作品は、見てくれる人すべてにアピールできるものではないので、興味のない人を取り込もうなんて無駄なことはしないんです。もし試みようものなら、ほとんどの場合、ただ疲れて、失敗に終わってしまうのです。

自分の作品を純粋に楽しんでくれる人たちと一緒に過ごしましょう。友人と充実した批評会をすること。友人たちは、あなたが助けを必要としているときにそばにいてくれるでしょう。そうでない人たちは、あなたがお金や良い仕事を持っているときにそばにいて、自分の都合のいいときに、あっという間にあなたを見捨ててしまうでしょう。

 

10) 自分の機材を持つ

 

レンタルも効率的ですが、余裕ができたら自分の機材を手に入れるべきでしょう。いつでも好きなときに撮影できる手軽さは、新しいスタイルやライティングを学び、試し、創ることに大きく役立ちます。

ニューヨークに引っ越してから Profoto D1 500 Air、ソフトボックス オクタ型、ブラックフォームコア、シネフォイルのロールを購入しました。その後、D1モノライトを3台、ソフトボックス ストリップ型 を2台、ビューティーディッシュ、アンブレラ ディープ XL を追加で購入しました。これらの機材がなかったら、これほどまでに実験的に創造していくことはできなかったでしょう。私の作品を進化させるために欠かせないものです。

 

11) 噂話をしない

ヒントというほどではありませんが、どうしても取り上げたいことがあります。私たちは皆、ある程度は噂話をします。友人とするのはいいのですが、中には有害なもの、プライベートなもの、個人的なもので、秘密裏に共有されるものもあります。こうしたものの中には、脅迫に利用されたり、キャリアや人生を壊すようなものもあります。もし誰かがあなたを信頼してこのような情報を教えてくれたとしても、それを噂話に利用するのはやめましょう。この毒の連鎖の一部にならないでください。この連鎖を止めようとする人が増えれば、いつか悪意のない業界にできるかもしれません。

 

12) 書類を整理する

 

他の記事でもお話しましたが、もう一度強調します。書類整理は大切です。

請求書、モデルリリース、契約書、ピッチ、ムードボード、通信文などをファイリングして、きちんと整理しておきましょう。こうすることで、必要なものを簡単に見つけられるようになります。例えば、未払いの仕事をすべて同じフォルダーに保存して、未払い請求書を確認することができます。また、出版社からモデルリリースを要求されたときに提出することができます。このような良い習慣があれば、法的なトラブルに巻き込まれたときでも必要なものがすべて見つかるはずです。

 

13) 法律に関すること

フリーランスのプロフェッショナルになって最も嫌なことのひとつは、会社の顧問弁護士のサポートを受けずに、自分ひとりで法律問題を処理しなければならないことです。想像しうる限りのあらゆることで、あなたを訴えようとする人たちが出てくるでしょう。あなたの著作権を侵害し、何の反省もなく、あなたに嫌な思いをさせようとする人たちもいるでしょう。

1通のメールを見落として、写真の公開後に高解像度ファイルを送り忘れたために、私を訴えたいという人もいました。フォトグラファーが写真の著作権を完全に所有することはありえないからと、私の作品の所有権を主張した人もいました。仕事の1年分の料金をまったく払わず、少額訴訟の判決で不履行に陥った会社もあります。また、私の著作権を侵害した会社に相応の支払いを要求しても一蹴され、最終的に法的な助けを求め、超過分と弁護士費用を支払わなければならなくなった会社もあります。

それは最悪でした。私は長い間、これらのことに対処するのを避けていました。無力感から多くのものを手放しました。新しい写真を作ることに集中しすぎて、受け取れなかった報酬を回収できなかったこともあります。時々、毛布の下に隠れて泣きました。まるで、世界と自分が対峙しているようで、みんなから嫌われているような気がしました。あえて自分を守ろうとすれば、私は”悪い人”で、ひょっとしたら何でもないことで大騒ぎしているのかもしれないと感じました。「たかが写真」と言われながら。不当な扱いを受け、傷つき、ただただ嫌な思いをしました。精神的なストレスというのは、本当にあるものです。いじめに遭って、そのことを口に出せないでいるのと同じようなものでした。

気にかけてくれる弁護士を探しましょう。Googleで検索したり、友人に聞いたり、その分野の著作権に焦点を当てたミートアップに参加したりすることができます。1人目、2人目の弁護士が正しいとは限りません。あなたの写真作品には何の価値もない、と忠告してくる人もいるでしょう。探し続けてください。著作権や知的財産権に関する法律事務所や、アーティストやクリエイターを大切にする人たちを見つけましょう。彼らはあなたを大切にして、多くの精神的ストレスの緩衝材となってくれます。なぜもっと早くやらなかったのか、と思うことでしょう。

 

14) 自分の夢の支持者になる

 

臆せず、正直に、誠実に。自分の情熱に従い、興味をひたすら追い求めること。

どれくらいの確信があったのかと聞かれることがありますが、答えはいつも決まっています。私はただ、あることに信じられない程に興味を持っていて、周りの人の目を気にしながらも、臆面もなく熱中して追い求めたのだと。

自分のチャンスは自分で切り開くしかないのです。自分で戦わなければ、誰も助けてはくれません。

あなたの運命はあなたが握っているのです。良い人になってください。あきらめないで。

 

Zhang Jingna ウェブサイト

Zhang Jingna FacebookTwitterInstagram

Zhang Jingna ファッション撮影のライティングツール Top 10

Zhang Jingna フォトグラファーとして活躍する方法

Zhang Jingna コマーシャル撮影

Zhang Jingna 個人プロジェクトの撮影

Zhang Jingna 写真上達のための14のステップ

 

 

 

 

 

 

 

 

執筆者:: Zhang Jingna