スチール&ムービーの現場における bird and insect のビジュアルブランディング <前編> | Profoto (JP)

スチール&ムービーの現場における bird and insect のビジュアルブランディング <前編>

28 10月, 2021

執筆者:: Nahoko Ando

「リアルをドラマに、ドラマをリアルに」をミッションに掲げる、bird and insect。ビジュアル制作を通して企業や商品のブランディングを行い、商品の魅力を最大限に伝え、見る人がワクワクするようなスチールやムービーを手掛けているクリエイター集団だ。またプロが必要な知識やセルフブランディングのノウハウを YouTube チャンネルやブログで惜しみなく発信しており、多くのフォトグラファーからも注目されている。

今回は bird and insect が Profoto B10X と Profoto B10X Plus を使い、レザーバッグブランド「ke shi ki」の5周年を記念したブランディングビジュアルとメイキングを撮影した。

スチールだけでなく、ムービーやメイキングも同時並行で求められることが多くなってきたという撮影現場で、ストロボと LED が一体となった Profoto B10X と Profoto B10X Plus はどのように役立つのか。bird and insect の代表でありフォトグラファーの shuntaro 氏と撮影を振り返りながら、その魅力や使用例を紐解いていきたい。

パワーアップした、Profoto B10X PlusとProfoto B10X

今回の撮影対象となった「ke shi ki」は、「身に着けているときも、おいているときも、バッグを日々の景色の一部と考えデザインする」ことをコンセプトに制作しているレザーバッグブランド。このブランドを象徴するスチールとムービーを撮影するにあたって参考にしたのは、フェルメールと比較されることも多いデンマークを代表する画家、ヴィルヘルム・ハマスホイの絵画だ。

ストーリー面では、長く大切に使われてきた家を舞台に、最近他界してしまった家主である老夫人が残したバッグが妖精となり住んでいる設定としている。そして、その家に迷い込んだ少女との交流をストーリーの軸とした。

「ke shi ki のディレクターがこのストーリーを元に商品を登場させていきながら、絵コンテを起こしました。 “タイムレスに続く”というキーワードにリンクさせて、タイムレスなデザインのイメージと、これからも受け継がれていくブランドである、というメッセ―ジを表現できたらと思ったんです」(shuntaro 氏、以下同)

bird and insect が手掛けるクリエイティブでは、スチールとムービー、さらにメイキングも同時に1日で請け負う撮影スタイルがスタンダードになりつつあるとのこと。

「そういう場合にスチールだけでなくムービー用のライトも別に用意するとなると、機材の数が増えてタイムロスにつながりかねない。Profoto B10 はストロボと LED がスイッチひとつで切り替えられるし、調光ができて色温度や明るさも変えられる。スチールとムービーの両方を手掛けるフォトグラファーにとって、かなり使いやすい機材だと感じています」

さらに今回、Profoto B10 は Profoto B10X、Profoto B10 Plus は Profoto B10X Plus にアップグレードし、両機材とも、LED 定常光の最大光量が 2,500 ルーメンから 3,250 ルーメンに向上。また最大出力でのリサイクルタイムも大幅に短縮された。

「私は普段、Profoto B10 Plus を使用しているのですが、新しくなった Profoto B10X と Profoto B10X Plus を使ってみて、定常光の明るさがかなり強くなっていると感じました。チャージのタイミングも早くなりましたね。光量強めで連射しても、発光しない場面はなかったです。改善されているという実感がありました」

それでは、スタジオで撮影された写真を見ていこう。

「ハマスホイの絵は、少しアンダーなトーン。ただ、ハイライトからシャドーまでの階調の描き分けがすばらしく、光で奥行きを作っているんです。カメラはフェーズワンを使用しています。このような微細な階調表現にしたいときは、普通のカメラよりも圧倒的に有利。ただ今回のイメージにはシャープになりすぎてしまうので、レンズをオールドレンズにすることで、あえて描写を柔らかくして色再現を落としています」

1か所目のスタジオは、窓が多く自然光が多く入ってくる建物のため、普通に撮るとフラットな光になってしまう。そのため、画面上では見えていない左手の壁の奥側から OCF ソフトボックス 60㎝ OctaOCF ソフトボックス 30×90㎝ を付けた Profoto B10X Plus の2灯でベースの光を作り、テーブルと椅子に少し強い光を入れている。

「ストロボの光量を上げると、自然光の明るさを落とせるので、陰影を作ることが可能となります。3灯目は黒いバッグの質感を出すために、OCF II グリッド&フィルターホルダーOCF II グリッド 20度を取り付けた Profoto B10X で商品だけを狙って当てています」

撮影風景。カメラはスチール、メイキング、ムービーの3台体制。

次のカットは、大人の服を着てのぞきこむ少女が鏡に映るシーン。床に積み重なった本のあたりに左側から OCF ソフトボックス 60×90㎝ を付けた B10X Plus を1灯あてて光の方向性を作り、女の子がいる奥の部屋で1灯、天井バウンス。また手前の部屋から女の子に向かってOCF ソフトボックス 60㎝ Octa をあてて、さらに手前の部屋で1灯天井バウンスして光を回している。全部で4灯だ。

撮影風景

次は主人公の女性と少女が初めて同じ場面に入るシーン。女性のポーズや光など、ハマスホイの絵画を強く意識している1枚だ。

「右側の大きな窓からの自然光に、女性の右後ろから OCF ソフトボックス 60㎝ Octa を付けた B10X の光を1灯足しています。メインの女性とテーブルにあたっている強いハイライトがその光です。さらに窓の外から、ソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 30×90㎝ を少女に向かってあてて、少し奥で暗くなってしまう少女にもハイライトを足しています。普通に撮るとテーブルのハイライトがもっと明るくなって後ろの壁が白くなってしまうので、アンダーに光をつくり、強制的に陰影をつけています」

「絵がレイヤードになっているので灯数がないと暗くなってしまいます。フェルメールもそうですが、片側から光が当たり、片方に影が落ちるという絵画の手法を意識しています」

撮影風景。見えていない奥の部屋でもB10X Plusを天井バウンスさせている。全3灯のシンプルなライティング

2名で遊んでいるシーン。ハマスホイの絵画では、登場人物同士や、絵の中の人物と鑑賞者の目線が合わないものが多いそうだ。こちらは映像優先のシーンとして、LED のみの光で撮影した。

「左手の窓と手前側にも窓があり、その2つの方向から光が来ています。暗くなってしまいがちな顔やモノに光を補うため、手前側の見えていない窓の横から、さらに B10X Plus 2灯を足しています。手前の1灯には OCF ソフトボックス 60㎝ Octa を取り付け、奥の1灯はそのままあてました」

撮影風景

同じライティングでの寄りのカット。

次は、少女がどこかに向かって歩いているシーン。暗くて狭い廊下のスペースで撮影されている。

「メイン光は、この少女が向かっている先の玄関側から OCF ソフトボックス 60×90㎝ を付けた B10X を1灯。また少女の上から光が入ってくるようにしたかったので、階段の上からもサブで B10X Plus を1灯入れています」

撮影風景。上からも光を当てることで階段のディテールなども出すことができた

後編は、スタジオを変えて撮影した写真と完成したムービーとメイキングを紹介する。

写真ギャラリー:

制作チーム:
Cast: Nao (Gunn’s), Fuka Okayama
Stylist: Sho Takeno
Hair Make: Maila Tsuboi
Accessories by: noguchi BIJOUX

[bird and insect]
Image Director / Photographer: shuntaro
Director / Prop Stylist: Ruri Hosokawa
Cinematographer: Daisuke Abe, Ryusuke Honda
Editor / Colorist: Kyo Kuboyama
Retoucher: Akko Noguchi
Project Manager: Yuki Koike, Task Watanabe

Behind The Scene Photographer / Cinematographer: Yusuke Hayashi
Behind The Scene Edit: Dai Ishizuka

執筆者:: Nahoko Ando

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