消費者のオンラインシフトから、オンラインショップやソーシャルメディアで商品の魅力を消費者に伝える商品写真の需要が高まる昨今。手軽にハイクオリティな商品写真を撮影するためのライティングの基本的な考え方を、初心者向けにシリーズでお伝えする。
今回は、イメージカットの撮影に役立つライティングのコツを解説する。
ナチュラルなイメージカットを撮って欲しいという依頼を受けることが多いかもしれない。もちろん、レース越しにやわらかく差し込む窓辺の自然光があれば、それを活用するのが一つだが、必ずしも都合の良い窓の光が撮影現場にあるとは限らない。コンパクトなバッテリーフラッシュ Profoto B10 を使ったナチュラルなイメージカットに向いた光の作り方を解説する。
まず、朝顔を洗うシーンのイメージカットの撮影を紹介する。
ナチュラルなイメージカットに最適なふんわりとしたやわらかい光を手軽に再現するのにお勧めなのが、半透明の傘。Profoto B10 にアンブレラ トランスルーセント M を取り付けて、朝の身支度で使うタオルやブラシ、化粧品チューブなどの被写体の後ろ側に置いて、逆光でライティングした。
ライトの位置はライトの芯がタオルの後ろ側に来るように、そしてライトの傾きはイメージ写真の上側から下側への明るさのゆるやかなグラデーションが適切になるように、LED モデリングランプで確認しながら調節した。
さらに前からリフレクター ホワイト/シルバー M のホワイト面で光を軽く起こすと同時に、グリーンを前ボケで入れた。
爽やかな朝の洗顔シーンのふんわりとしたやわらかい空気感のイメージカットに仕上げた。
さて、1灯で手軽に美しい面状のグラデーションがはっきり出る大きな光源を作るのにお勧めなのが、Profoto B10 とリフレクター トランスルーセント M を組み合わせたライティング。
Profoto B10 を、斜めに置いたリフレクター トランスルーセント M の下部に、ヘッドがリフレクターに沿う形で設置した。
こうすることで、レフ板自体が下から上までなだらかなグラデーションがついた大きな光源になる。
モーニングカフェタイムのイメージショットをこのライティングで撮影した。
写真の左上から右下へのグラデーションが美しく、朝日が感じられるモーニングカフェタイムを演出することができた。
ここからさらに、手前に置いたリフレクター ホワイト/シルバー M のホワイト面で起こしたのが下の写真。手前の白い袋のクッキーの光が起きていることがわかる。
逆に、テーブルの上部にリフレクター ホワイト/ブラック L のブラック面を置いて、天井に回る光を切ったものが、下の写真。天井からのバウンス光の効果がなくなり、左上から右下へのグラデーションがよりはっきり出ている。
このような Profoto B10 とリフレクター トランスルーセント M を組み合わせたライティングは、ソフトボックスやアンブレラとはまた違った、帯状のグラデーションが美しい大きな光源を手軽に作ることができ、朝日や夕陽など太陽が低い位置にある時間帯の再現にぴったりだ。今回のような小物雑貨の撮影にはもちろん、フードの撮影にもお勧めだ。
最後に、バスソルトやバスオイルなどのバスタイムを彩るグッズのイメージショットを紹介する。
水の波紋のような斑模様を、アクセサリーなしの Profoto B10 をメインライトとして、その前に OCF ソフトグリッド 60x90cm を垂らして作り出した。
このソフトグリッドを通したメインライトのみでは影が強く出過ぎるため、フィルインとしてもう1灯の Profoto B10 を壁バウンスで加えた。
また、左下のバスソルトのボトルの白いラベルが目立ちすぎないように、黒画用紙で光を切った。
一日の疲れを取る贅沢なバスタイムを演出するバスグッズのイメージカットが完成した。
今回はイメージカットでの作例を紹介したが、ライティング自体は商品単品の撮影でももちろん使えるので、色々と活用してみて欲しい。
撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
スタイリスト 篁 大輔
BTSフォトグラファー 谷川 淳
衣装協力 yohaku