窓から差し込む光に似た光を簡単に再現することができるソフトボックス。光が広い範囲に拡散してしまうアンブレラと違って、ソフトボックスが作り出す指向性がありながらも均一なやわらかい光は、人物撮影の様々な場面で活躍する。
Profoto A10 と OCF アダプター、ソフトボックスを使って作り出したやわらかい光を活用した女の子の撮影の舞台裏をレポートする。
まず、OCFアダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で、白い壁際に立たせた女の子を撮影した。
環境光はほぼ切った状態で、ソフトボックスを女の子のすぐ横近く、若干カメラ側に置いて撮影した。女の子の顔の向かって右側がやわらかい光で照らされると同時に、左側の壁からのバウンス光で顔の左側の影も薄くやわらかい影となっている。両サイドからの光源で挟んだこのショットでは、立体感は出しながらも、女の子をやわらかい雰囲気で描き出すことができた。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
ストロボ無。
ライトを女の子からもう少し遠い位置に置いて撮影したのが次の一枚。ここではあえてライトの傾きを若干天井に向けて、光の芯を女の子から外したフェザリングという手法を用いて、体部分にあたる不要な光を減らし、女の子の顔にハイライトがくるように調節した。
鼻筋に綺麗なハイライトが入ると同時に、女の子の頭上の左側の壁からのバウンス光がトップライト気味に女の子に当たり、やわらかい中にもメリハリの効いた写真に仕上げることができた。目にキャッチライトも入って、生き生きとした表情を捉えた。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
次のもう少し引いたショットでは、白壁から若干離れた位置に女の子を立たせて、ソフトボックスは上と同様に、光の芯を女の子から外してかすめるような位置に置いた。
立体感がありながらもやわらかい雰囲気で人物全体を描き出すことができた。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
上の三例のように、ソフトボックスと壁からのバウンスの距離や、ソフトボックスと被写体の距離・当て方を変えることで、同じ場所でも被写体のハイライトや影の具合が異なる好みの表現を実現することができる。強いバウンス光が欲しい時はソフトボックスを白壁の近くに置くと良い。同じ場所で複数バリエーションを撮りたい時にかなり有効な方法だ。
次に、ソフトボックスを被写体だけでなく部屋全体のライティングに使った例を紹介する。
テラスに OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 を置いた。ソフトボックスの前面を若干上に向けることで、フローリングからのバウンスの影響が出ないようにすると同時に、天井にも光が当たるようにして、部屋全体に光を回した。
女の子に美しいショートライトが当たると同時に、部屋全体がテラスから差し込む光で満たされた明るい雰囲気に描き出すことができた。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
ストロボ無。
次のもう少し寄ったショットでもライティングは同様。
女の子を元気に描き出した。暗い部屋や時間帯での撮影でも、このようにストロボ1灯で簡単に窓からの光が差し込む部屋を演出することができるので、ぜひ色々なシチュエーションで使ってみて欲しい。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
ストロボ無。
次に、屋外撮影でのソフトボックスの使用例をご紹介。女の子の右後ろから傾き始めた夕陽が差し込む若干逆光気味のシチュエーション。
左手側に OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯をフィルライトとして加えた。ストロボを使わなくてもいい状況だが、フィルライトで女の子の顔にハイライトを入れることで、写真を見る人の目線をそこに誘導して、この写真で一番見せたい女の子を強調した。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
ストロボ無。
最後のショットでは、夕陽の優しい光に包まれた空を見上げる女の子を美しく描き出した。
OCF アダプターと OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
Profoto A10 とOCF アダプター、OCF ソフトボックスを使って撮影する際には、ソフトボックス内に光ができるだけ回るように、A10 の照射角を一番広げた状態で使うことをお勧めしたい。Aシリーズフラッシュは Profoto B10/B10 Plus などに比べるとヘッドが小さく照射角が小さいためにホットスポットが出がちになるが、被写体から光の芯を外したフェザリングをうまく使うと良い。
Profoto Aシリーズフラッシュの機動力を生かしながらも、手軽にやわらかい光を作り出したい時に、OCF アダプターと OCF ソフトボックスを組み合わせてぜひ使ってみて欲しい。
撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
モデル 渡辺 みあ(シュガーアンドスパイス)
スタイリスト 谷川 夢佳
ヘアメイク 本間 ひとみ
BTSフォトグラファー 谷川 淳
衣装協力 HOUGA