限られた撮影時間と場所で臨機応変に対応することが求められるレストラン出張撮影。手軽にハイクオリティな料理写真を撮影するためのライティングのコツをシリーズで解説する。
今回は、前菜とスープの撮影の模様をレポート。
春を感じさせる前菜の一品「帆立のグリルマリネ仕立て」の撮影からスタート。
メインライトとして半逆光の Profoto B10 と、ドレッシングの瓶とジュレを狙ったアクセントライトとして Profoto A10 を逆光で加えた合計2灯で撮影。
ナチュラルカフェのやわらかい雰囲気で描き出すため、メインライトとして、Profoto B10 をレフ板に反射させたバウンス光を、半逆光になる位置から照射した。
色鮮やかに描き出すために、サイド寄りの半逆光になる位置にメインライトを置いた。また、高さが無い料理のため、メインライトの B10 を低めの位置において、お皿にやわらかい影が落ちるようにした。
上から見た方が綺麗に見える平らな盛り付けのため、高めのアングルから撮影した。
メインライトの B10 1灯のみで撮影したのが下の写真。野菜のピンクや黄色、緑色が色鮮やかに描き出されている。
Profoto B10 1灯をレフ板にバウンスさせ、サイドよりの半逆光で撮影。
お皿の背後に置いたドレッシングの瓶とお皿の上のジュレをきらっとさせて質感を出すために、Profoto A10 をレフ板に反射させて逆光として加えた。
逆光の A10 のみで撮影したのが下の写真。ドレッシングの瓶とジュレに光が当たってニュアンスが加わった。
Profoto A10 1灯をレフ板にバウンスさせ逆光でドレッシングの瓶とジュレに向かって照射。
メインライトの半逆光の B10 と逆光の A10 の2灯を使って、さらに右側の影を和らげるために白レフで起こして撮影した完成写真が下のもの。
全体に回ったやわらかい光を手軽に作ることができるバウンス光を活用することで、ナチュラルカフェの春らしい前菜の一皿をふんわりと描き出した。
メインライトとして半逆光の Profoto B10 と、ドレッシングの瓶とジュレを狙ったアクセントライトとして Profoto A10 を逆光で加えた合計2灯で撮影。
次に「人参とクミンのスパイススープ」の撮影の模様をご紹介。
ソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 40x40cm をメインライトに半逆光の位置から照射。右側の影をレフ板で起こして、環境光のダウンライトをレフ板で切った。
素材に拘った個性派レストランをテーマに、人参の美しい色をしっかり描き出し、お皿の周囲は暗めにして料理を引き立たせるために、Profoto B10 に ソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 40x40cm を取り付けて半逆光で照射した。
湯気を編集で加えることができるように、お皿の後ろ側が特に暗めになるようにライトの位置を調整した。
ライトを高くしすぎるとハイライトがスープの液面全面に入ってフラットな表現になってしまい、低くしすぎるとスープの液面に落ちるお皿の影が邪魔になってしまうので、B10 の LED モデリングライトを活用しながらライトの高さを調整した。
ソフトボックスのメインライト1灯に、レフで右側の影を起こして撮影したのが下の写真。
スタイリングとしては、絵が寂しくならないように奥にパンを置いて、手前にカトラリーでアクセントを加えた。全部入れると大きく見えるため、カトラリースプーンの端が切れる画角にすることもポイント。
ソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 40x40cm をメインライトに半逆光の位置から照射。右側の影をレフ板で起こした。
上の写真では、環境光のダウンライトによってお皿の強い影がテーブルに落ちているため、レフ板でダウンライトを切って撮影した。
環境光の影響を抑えて撮影した最終写真が下のもの。
スープの液面にハイライトが綺麗に入り、人参の色が鮮やかに描き出され、素材に拘った一品を美しく捉えた。
ソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 40x40cm をメインライトに半逆光の位置から照射。右側の影をレフ板で起こして、環境光のダウンライトをレフ板で切った。
今回、前菜とスープの撮影でご紹介したように、全体に光がふんわり回ったやわらかい雰囲気で描き出したい際にはバウンス光を、やわらかくも被写体を周囲から引き立たせて影になる部分も生かしたい場合にはソフトボックスの光を活用することがお勧めだ。