限られた撮影時間と場所で臨機応変に対応することが求められるレストラン出張撮影。手軽にハイクオリティな料理写真を撮影するためのライティングのコツをシリーズで解説する。
今回は、デザートとドリンク撮影の模様をレポートする。
まず、高級フレンチレストランのデザートの一皿として、「金柑のタルト」を撮影した。
メインライトとして、Clic グリッド 20度をつけた Profoto A10 を、リフレクター トランスルーセント L 越しに照射。アクセントライトとして、右奥から Clic グリッド10度をつけた Profoto A10 を照射。
構図のポイントとしては、テーブルの角にお皿を置くことで、背景のキッチンカウンターのブルーグレーの壁を活かして撮影した。金柑が木のテーブルの色に馴染んでしまうことを避けるため。
ライティングは、メインライトとして、カメラと被写体、光源を結んだ角度が110度程度になる半逆光の左奥の位置から、Clic グリッド 20度をつけた Profoto A10 を、リフレクター トランスルーセント L 越しに照射した。
また、環境光のダウンライトの影響を軽減するために、レフ板で上部からの光を切って撮影した。
メインライト1灯で撮影した写真が下のもの。
高級感を出すためにグリッドをつけて絞ったスポット光を照射した。立体感を出すためにあえて低めの位置から打つことで、影を落としてシックに仕上げた。ここでは、パキッとした影ではなく、やわらかい影にするために、半透明のレフ板を通して照射した。
メインライトとして、Clic グリッド 20度をつけた Profoto A10 を、リフレクター トランスルーセント L 越しに照射。
ここにアクセントライトとして、右奥から Clic グリッド10度をつけた Profoto A10 を加えることで、タルトの上の金柑のカット面のキャラメルをきらっとさせた。アクセントライトはメインライトより2段ほど弱い光量で照射した。
メニュー名には作り手の意思が表れるため、メニュー名に入っている食材を目立たせることが大切になる。ここでは「金柑のタルト」の「金柑」にハイライトを入れて強調した。
仕上がった写真が下のもの。春の訪れを感じさせる金柑が美しい、高級フレンチレストランのシックなデザートの一皿に仕上がった。
メインライトとして、Clic グリッド 20度をつけた Profoto A10 を、リフレクター トランスルーセント L 越しに照射。アクセントライトとして、右奥から Clic グリッド10度をつけた Profoto A10 を照射。
次に、「ベリーのフルーツカクテル」を大人っぽい雰囲気で描き出した撮影をご紹介。
メインライトとして、左奥の半逆光の位置から Clic グリッド20度を取り付けた Profoto A10 を照射。さらに、右奥からもう1灯 Clic グリッド 10度を取り付けた Profot A10 を照射。
スタイリングのポイントとしては、グラス1個だけではバランスが取りづらくポツンと寂しい構図になるので、右奥にグラスをもう1個加えることでバランスを取った。
また、高さのあるグラスなので、レストランの店内にある背景を活かして撮影することもポイント。ここではブルーグレーのキッチンカウンターの背景を活用した。
ライティングとしては、メインライトとして、左奥の半逆光の位置から Clic グリッド20度を取り付けた Profoto A10 を照射した。ここでも、レフ板で上部からの環境光を切って撮影した。
メインライト1灯で撮影したのが下の写真。
周囲が暗くなるようにグリッドで絞った光を使って、低めの位置から照射することで、炭酸と氷をキラキラと輝かせた。
ここで気を付けたいのは、透明のグラスとカクテルを透過して、左奥からの光がグラスの右淵のハイライトを作っているということ。液体は透過するが、フルーツは影になることも注意したい。
メインライトとして、左奥の半逆光の位置から Clic グリッド20度を取り付けた Profoto A10 を照射。
さらに、ドリンク全体を背景から浮き立たせるために、右奥からもう1灯 Clic グリッド 10度を取り付けた Profot A10 を加えた。
この右奥からのライトは若干上向きにして、グラスをかすめるように、メインライトより3段ほど弱い光量で打った。下に振ると影が二本出て不自然になってしまう。
2灯ライティングで仕上がった写真が下のもの。
両サイドから照射して背景から浮き立たせ、透過光を活用することで、シュワッとした炭酸が効いているフルーツカクテルを色鮮やかに描き出した。炭酸は撮影直前に注ぐこともポイント。
メインライトとして、左奥の半逆光の位置から Clic グリッド20度を取り付けた Profoto A10 を照射。さらに、右奥からもう1灯 Clic グリッド 10度を取り付けた Profot A10 を照射。
コンパクトな Profoto A10 2灯でも様々なライティングが可能なので、ぜひ色々と挑戦してみて欲しい。