ファッションや広告で活動中のフォトグラファー 笹口悦民氏に、Profoto B10X を使ったスチルとムービーの撮影を依頼。笹口氏のインプレッションを紹介する。
金屏風を「舞台」と捉えて、その前で何かを演じてもらう、ということを意識しました。スタイリストには「ファッションというよりも彫刻的なオブジェを作るつもりで衣装を考えてほしい」とお願いし、モデルは日本人とも西洋人とも違う中庸な感じで、地球人っぽくない(笑)イメージで選びました。金屏風と合いそうにないものを敢えて合わせることでの違和感とか "不調和の調和" を狙いました。
自分の写真の好みでもあるのですが "ドラマ性" というのをいつも意識しています。写真には動画のような起承転結はないんですけど、一瞬の時間の中にドラマやストーリーを注ぎ込むことができる。それは演出でもあるのですが、そのドラマ性を演出するために、自分にとって「光」はすごく大事な要素なんです。
逆にフラットな光は僕にとっては惹きつけられるものではないので、そういう環境でも何かしらアクセントになる状況を作ります。例えば自然光の撮影でも片方は黒く締めるとか。どこかに手を加えることが多いです。
B10X Plus を3灯、外からディフューザー代わりの障子越しに当てています。外からの光は、午後から夕方目の感じで角度を決めました。ヨーロッパの建物の場合は天井が高いので、そういう状況を想定した時は、高い位置から光を当てます。レンブラントライトもそうですね。日本は障子文化で天井も窓も低いので、そこまで上げないで 2m 程の高さから当てています。低い位置からの光が床に反射して、下からも光が反射するのが日本っぽいかなと思います。
窓側の外光から落ちるシャドウが少し強かったので、右サイド真横からソフトグリッドを取り付けた OCF ソフトボックス 60x90cm を1灯当てました。僕らは「タッチ」ってよく言うのですが、「起こす」というと少しフラットにする意味合いもあるんですが、そうではなくて、グリッドをつけて右サイドから少しだけアクセントとして直線的な光(ハイライト)を入れています。
今回、スチル作品に加えて、Profoto B10X のLED(定常光)を活用することで映像作品も撮影。
プロフォトの場合は、アクセサリーがそのまま使えるのもありがたいです。スチル(キヤノン)は ISO 800 で撮っていましたが、RED GEMINI も同じ感度で撮っていたので、横に置いた機材を入れ替えるだけで、タイムラグもありません。ライティングや光量調整の手間がかからないので、スムーズに進められます。
ハウススタジオや狭い場所、電源を確保しづらい場所では、瞬間光と定常光が使える B10X とかは、これからの時代はかなり便利な機材だと思います。
最近は Pro-8 や Pro-10 等のジェネタイプばかりで、バッテリータイプはあまり使っていなかったんです。最初に見せて頂いた時は「こんな小さいんだ!」ってビックリしました。それでも光質はハイエンド機種と遜色がないので、コンパクトな撮影では積極的に選びたいなと思いました。
クリエイティブチーム:
フォトグラファー:笹口悦民(SIGNO)
スタイリスト:TAKAO(D-CORD)
ヘア:KIYO IGARASHI(SIGNO)
メイク:Yuko Mizuno(D-CORD)
モデル:中島沙希(Tomorrow Tokyo)
BTS写真:谷川淳
インタビュー:坂田大作(SHOOTING編集長)
Web マガジン SHOOTING(シューティング)インタビュー記事より抜粋。