商品写真のライティングの基礎:ビール瓶 | Profoto (JP)

商品写真のライティングの基礎:ビール瓶

07 6月, 2021

執筆者:: Profoto Japan

消費者のオンラインシフトから、オンラインショップやソーシャルメディアで商品の魅力を消費者に伝える商品写真の需要が高まる昨今。手軽にハイクオリティな商品写真を撮影するためのライティングの基本的な考え方を、初心者向けにシリーズでお伝えする。

今回は、透明なビール瓶の切り抜き写真の撮影を、背景ライティングと黒締めに着目して解説する。

今回のビール瓶のような光を透過する被写体を撮影する場合、被写体を通して背景が写るので、背景ライティングが重要になる。

ここでは、瓶の中にフラットな光ではなく、あえてグラデーションのある光を作り出すことで、瓶を立体的に描き出す。

照射角を狭め Clic グリッド 20度を取り付けた Profoto A10 に、OCF アダプターを介して OCF ソフトボックス 60x90cm を取り付けて照射することで、背景に同心円状のグラデーションのある光を作り出した。

瓶のラベル「SOL」の「O」の上周辺に一番強いハイライトが来て、そこからグラデーションが広がるように、ソフトボックスの位置を調整した。

一般的に、切り抜きやすいように被写体の輪郭に黒い部分を入れることを「黒締め」と呼び、黒い紙や布を背景に垂らすことで行うことが多い。

ちなみに、Profoto のソフトボックスシリーズはすべて、光をコントロールしやすいように、フロントディフューザーが若干奥に入り込んでいて、黒いボックス部分が前に出ている構造になっている。

今回は、ソフトボックスのこの黒い縁を瓶に写し込むことで、簡単手軽な黒締めを行った。

バックライト 1灯のみで撮影した写真が下のもの。

瓶の中に光のグラデーションが綺麗に入ることで立体的に描き出され、瓶の輪郭にソフトボックスの黒い縁が写り込むことで瓶の境界が際立った。

バックライト 1灯のみでは、瓶の前面のラベルが暗くなっていて、色も沈んでしまっている。

瓶のラベルを際立たせるために、オンカメラの Profoto A10 を天井バウンスさせて全体に回した光を、フロントライトとして加えた。

瓶のグラデーションを意識した背景ライティングをしたので、2灯目をサイドから入れるとチグハグになってしまう。2灯目を天井バウンスで全体に回した光を入れることで、背景ライティングとの方向性を揃えて絵をまとめた。

オンカメラの Profoto A10 の光が直接瓶に当たらないように、付属のバウンスカードを使って直接光を切って、瓶にはバウンス光のみが当たるようにした。

オンカメラのフロントライトのみで撮影した写真が下のもの。

瓶のラベルの色がはっきりと出たと同時に、蓋の真ん中に天井が写り込んだ綺麗なハイライトが入った。

バックライトとフロントライトの2灯で撮影した写真が下になる。

ちなみに、瓶の輪郭の黒締めの幅は、ソフトボックスと瓶の間の距離を調整することで、太くも細くもできる。

試しにソフトボックスとビール瓶を近い距離に置いて撮影したのが下の写真。ソフトボックスの黒い縁と白い背景紙が写り込んでいる。輪郭部分を真っ黒にしたい場合は、背景とソフトボックスの間の距離をさらに取るか、黒の背景紙を使うと良い。

ビール瓶の輪郭に細い黒い線が入る位置にソフトボックスを置いて、バックライトとフロントライト 2灯で撮影し、切り抜きした完成写真が下になる。

今回は、黒い紙や布も使わずに、Profoto A10 2灯とソフトボックスのシンプルなセットアップでの、透明な被写体の簡単手軽な切り抜き撮影方法を紹介した。ぜひ活用してみてほしい。

 

撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
スタイリスト 篁 大輔
BTSフォトグラファー 谷川 淳

執筆者:: Profoto Japan

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