消費者のオンラインシフトから、オンラインショップやソーシャルメディアで商品の魅力を消費者に伝える商品写真の需要が高まる昨今。手軽にハイクオリティな商品写真を撮影するためのライティングの基本的な考え方を、初心者向けにシリーズでお伝えする。
今回は、異なる素材の質感の描写に着目して、革ジャケットの撮影を解説する。
今回の被写体は、ムートンの襟が特徴の渋い雰囲気の革ジャケット。
まずは、メインライトとして、Profoto B10 を左手の壁にバウンスさせることで、ベースの光を作った。
ここでのポイントは、革にゴールドの糸で刺繍されたジャケットのタグが、適度に目立つようにメインライトの角度を調節した。サイド光にしすぎると襟に影ができてタグに光が当たらず、天井バウンスにするとのっぺりした平面的な光になってしまう。
LED モデリングランプで確認しながら、適度に斜めからの光が当たるように壁バウンスさせる Profoto B10 の角度を決めた。
メインライト1灯で撮影した写真が下のもの。全体の光の方向性と明るさを決めた。
次に、ジャケットの襟元に目線を誘導するためのアクセントライトとして、OCF II バーンドアと OCF II グリッド 20度を取り付けた Profoto B10 を、左手後方から襟に向かって照射した。
OCF II バーンドアで余分な光の漏れを切ると同時に、襟元だけに光が当たるように OCF II グリッド 20度をつけて絞った光を照射した。
ちなみに、OCF II バーンドアには、OCF II グリッドや OCF II カラーフィルターをマグネットでワンタッチで取り付けることができるので便利だ。重ね付けもできる。
アクセントライト1灯のみで撮影したのが下の写真。
アクセントライトとして硬めの光を照射することで、左肩にハイライトを入れると同時に、襟のムートン部分の凹凸や襟の革部分の使い古したレザーの質感を描き出した。
メインライトとアクセントライトの2灯使って、右側をリフレクター ホワイト/ブラック L のホワイト面で光をおこして撮影した最終写真が下になる。革とムートンの質感を描き出すことができた。
今回は、拡散した光を使ってツルツルした表面の革の質感を描き出し、硬い光を使ってムートンの凹凸を描き出した。
一般に、ツルツルした表面の被写体は、表面で反射する光が際立つため、適度に拡散した光を使うと自然に描写できる。逆に、ムートンのような表面がザラザラとして凹凸がある被写体は、拡散した光を使うと影がぼやけて凹凸が出ないため、硬めの光を使うと素材感をしっかり描写できる。
様々な性質の光を活用することで、異なる素材の質感の表現に挑戦してみてほしい。
撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
スタイリスト 篁 大輔
BTSフォトグラファー 谷川 淳