オンカメラ・フラッシュの達人になろう | Profoto (JP)

オンカメラ・フラッシュの達人になろう

24 12月, 2020

執筆者:: Profoto Japan

動き回りながらの撮影やライトスタンドが立てられない現場など、カメラのホットシューに取り付けたオンカメラの状態でストロボを使う必要があるシチュエーションも多い。

もちろんオフカメラ・フラッシュに比べるとストロボ位置がカメラの上に固定されるという点で制約があるが、オンカメラ・フラッシュでもできることはたくさんある。

オンカメラ・フラッシュの使い方のコツを、子ども撮影現場のレポートを通して初心者向けに解説する。

最初のシーンは、一軒家の庭での女の子の撮影。

女の子がグリーンの棚の影に入っていて、自然光のみでは顔が若干沈んだ印象になっている。

自然光のみで撮影。

このようなシチュエーションで、オンカメラの Profoto A10 を弱く女の子に向けて直射するだけで、明るく自然な雰囲気に仕上げることができる。

自然光にオンカメラの Profoto A10 を加えて撮影。

組み立て方の基本としては、自然光のみで背景の露出を決めた上で、ストロボ光を好みの強さで追加すると良い。ここでは、女の子にやわらかい木漏れ日の自然光が効いている状態で、オンカメラのストロボを弱く加えているので、直射でも不自然なストロボ感が出た写真にはなっていない。

オンカメラでストロボを直射すると、不自然でベタっとした絵になるからストロボは苦手という方は、自然光を生かしながらストロボ光を弱く加えるというバランスをぜひ意識してみて欲しい。

次のシーンはリビングのソファに座る女の子の撮影で、ソフトバウンスを取り付けた Profoto A10 をオンカメラで使った。

自然光のみで撮影。

あえて自然光のみでは女の子の顔が暗めになる露出にして、ソフトバウンスを女の子の顔の正面上側から照射し、鼻筋にハイライトを入れて、頬にかけてゆるやかな影を落とすことで、立体感豊かに描き出した。

自然光にソフトバウンスを取り付けた Profoto A10 をオンカメラで加えて撮影。

自然光にソフトバウンスを取り付けた Profoto A10 をオンカメラで加えて撮影。

ソフトバウンスを取り付けた状態で女の子の顔近くで照射することで、Profoto A10 の小さなヘッド直射に比べるとより大きな面光源となっていて、やわらかいハイライトと影を落とすことができた。

次に、リビングのテラスのレースカーテンから顔を覗かせる女の子を撮影。

自然光のみでは逆光気味のところに、オンカメラの Profoto A10 を天井バウンスしたストロボ光をふんわりと加えた。

自然光のみで撮影。

このように天井バウンスで回したストロボ光を女の子の前側から軽く加えることで、女の子の肌や唇の色を綺麗に描き出すことができた。

自然光にオンカメラの Profoto A10 を天井バウンスで加えて撮影。

ちなみに、バウンスといえば天井バウンスを想像する方が多いかもしれないが、壁バウンスや角でのバウンスなど、様々な面でバウンスさせることで、方向性のある光を作ることができる。

次のシーンでは、テラスを背にしてダイニングテーブルに座る女の子を撮影。

まず、庭の緑が映えるくらいの露出で自然光のみで背景の明るさを決めたが、このままでは当然、逆光気味になっていて女の子の顔は沈んで見える。木のテーブルからの自然光の反射が効いているのか、女の子の顔が茶色っぽく見えるのも気になる点だ。

自然光のみで撮影。

ここに、オンカメラの Profoto A10 をテラスと反対側の天井の角に向けてバウンスさせたストロボ光を加えることで、女の子の表情を生き生きと描き出した。

自然光にオンカメラの Profoto A10 を天井・壁バウンスで加えて撮影。

壁や天井バウンスをする際には、どこに仮装の窓を作りたいのかを意識すると良い。ここでは女の子の右手側前方上部に仮想の天窓を作って、そこから降り注ぐ光を加えたというイメージだ。

自然光のみのショットでも女の子の右頬の方が若干明るくなっているので、自然光に逆らわないように、女の子に右手側からストロボ光が当たるような位置でバウンスさせた。

このように、Profoto A10 などの小型ストロボを使う際には、自然光に逆らわずに、自然光を生かした撮影をするとうまくいくことが多いので、ぜひ頭の片隅に置いておいて欲しい。

次に、より方向性を持たせたバウンス光を使った撮影例をご紹介。

方向性のあるストロボ光をメインに撮影するために、まずは自然光は暗めになるように露出を決めた。

ストロボ非発光。

ここに、Clic グリッド 10度バウンスカードを取り付けたオンカメラの Profoto A10 で、女の子の左手側少し後方上側の壁にピンポイントでスポット光を当てることで、バウンス光を加えた。

こうすることで、女の子の顔の左側、若干後方からやわらかい光を当てることができ、立体感豊かに女の子を描き出すことができた。ハイライトから影へのグラデーションも美しい。

Clic グリッド 10度とバウンスカードを取り付けた Profoto A10 を壁にバウンス。

Clic グリッド 10度とバウンスカードを取り付けた Profoto A10 を壁にバウンス。

Clic グリッド 10度とバウンスカード、両方無で、Profoto A10 のみを同じ位置にバウンスした撮影結果が下の写真。バウンスカード無しでは Profoto A10 のヘッドから直接女の子に当たる光があることと、グリッド無しではバウンス面が大きくなっているため、より平面的な仕上がりになる。

Profoto A10(グリッド・バウンスカード無)を直接壁にバウンス。

オンカメラ・フラッシュというと被写体の前から直射、もしくは、天井バウンスで頭上からの光を思い浮かべる方が多いかもしれないが、このように被写体の横や後の壁を利用することで、サイドライティングやバックライティングも可能になる。

冒頭でオンカメラではライト位置に制約があると書いたが、バウンスはオンカメラでも光源の位置を変える飛び道具になるとも言えるかもしれない。

カメラ位置がバウンス面から離れている場合、ストロボヘッドからの直接光が被写体に当たってしまうことが多く、それを防ぐために Profoto A1X/A10 に付属のバウンスカードが活用できる。ちなみに、バウンスカードには白黒両面があり、光を切るためには黒い面をヘッド側に向けて使うのがお勧めだ。

また、カメラ位置がバウンス面から離れていると、バウンス面の光源が大きくなってしまうため、方向性のある光を作りたい場合にはグリッドを活用して、バウンス面の光源を限定すると良い。

オンカメラ・フラッシュでベタっとした不自然な写真にならないようにする手段として、やわらかい自然光を取り入れること、ソフトバウンスなどのアクセサリーをヘッドに取り付けることで光源自体を大きくすること、壁や天井へのバウンス光を活用すること、この三つを押さえておくと、色々な場面で応用できるはずだ。

最後に、クラッカーを鳴らす女の子の撮影風景をショートムービーで紹介する。

Profoto A1X/A10 は最大出力で1秒間隔、1/2の出力で0.5秒間隔、1/4の出力で0.25秒間隔などと、とてもテンポよくシャッターを切ることができる。撮りたい瞬間を逃さず押さえることができることに加えて、クライアントを待たせてトークでつなぐ必要がなくなるのもフォトグラファーにとっては大きなメリットと言える。

オンカメラ・フラッシュでも思った以上に色々なライティングができるので、ぜひ試してみて欲しい。

撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
モデル 渡辺 みあ(シュガーアンドスパイス)
スタイリスト 谷川 夢佳
ヘアメイク 本間 ひとみ
BTSフォトグラファー・ビデオグラファー 谷川 淳
衣装協力 HOUGA

執筆者:: Profoto Japan

このストーリーで使用された製品

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