半透明の傘 アンブレラ トランスルーセントは、傘越しにストロボの光を透過させることで、広い範囲に拡散したやわらかい光を手軽に作り出すことができる。持ち運びしやすく、傘を広げるだけで撮影を始めることができ、天井が低い室内撮影にも向いているため、一本は持っていても損はしないツールと言える。
Profoto A10 とアンブレラ トランスルーセント Sを使った女の子の撮影の舞台裏を紹介する。
庭に立つ女の子に綺麗なバック&トップライトが降り注ぐ、若干逆光気味のシチュエーション。下の自然光のみ写真では女の子の顔が影になって沈んだ印象になっている。
ストロボ無。
顔の明るさを起こすためには、レフ板を女の子の顔の下に置いて、バウンス光を利用するのがよく知られた方法かもしれないが、レフ板を持つ人がいない現場もよくある。
そのような場合にお勧めなのが、Profoto A10 とアンブレラ トランスルーセント S を地面に置いて、透過光をフィルライトとして加えること。
Profoto A10 を付属のフラッシュスタンドに差し込んで地面に置いて、傘も地面に置くだけの簡単セッティングだ。
Profoto A10 とアンブレラ トランスルーセント S でフィルライトを加えた下の写真では、女の子の顔を明るく描き出すことができた。ちなみに、下からのフィルライトが強すぎるとお化けライトになってしまうので、自然な雰囲気になるように光量を調節して弱目に加えると良い。
自然光に加えて、地面に置いた Profoto A10 とアンブレラ トランスルーセント Sをフィルインライトとして使用。
フィルライトとしてレフ板での反射ではなく、ストロボとアンブレラを使うメリットのとして、レフ板を持つ人が不要になること以外にも、ストロボの光量を調整することで、フィルライトの強さをコントロールしやすいことが挙げられる。レフ板を被写体に近づけることでフィルライトを強くすることもできるが、近づけすぎるとレフ板が画角に入り込んでくるため、画角に制限が出てしまう。また、レフ板で太陽光のバウンス光を使うと、必ずしも十分な光量のフィルライトが得られるとは限らない。ストロボとアンブレラ トランスルーセントを使えば、画角と光量の心配が不要になるのでメリットが大きい。
ストロボ無。
自然光に加えて、地面に置いた Profoto A10 とアンブレラ トランスルーセント Sをフィルインライトとして使用。
フィルライトをストロボを使って加えるさらなるメリットとして、被写体の顔の色をクリアに描き出すことができることも挙げられる。地面や木の床からの反射光で顔色が茶色っぽくなったり、緑の芝生からの反射光で緑色がかったりと、色被りしてしまうことが多い。赤色や肌色を綺麗に描き出すことができる演色性の高いストロボをフィルライトとして加え、クリアに美しい色で被写体の顔を描き出すことで仕上がりは大きく向上する。
さて、Profoto A1/A1X/A10 と豊富な OCF ライトシェーピングツールを組み合わせた撮影を可能にする OCF アダプターには、アンブレラホルダーが搭載されている。次に、 Profoto A10 に OCF アダプターとアンブレラ トランスルーセント Sを取り付けて、女の子をメイク台の前で撮影した。
ストロボ無しの下の写真は、ハリウッドミラーからの光が逆光となって、女の子の顔は暗くなっている。
ストロボ無。
ここにOCF アダプターとアンブレラ トランスルーセント Sを取り付けた Profoto A10 を、向かって右側、若干カメラ側に置いて加えることで、女の子をやわらかく描き出した。
ここでは、アンブレラの光の芯を被写体からあえて外すフェザリングという手法を用いて、女の子の顔の明るい部分から暗い部分へのグラデーションがなだらかな、やわらかい光が当たるようにしている。
OCF アダプターと アンブレラ トランスルーセント S を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
顔の向きを変えた次のショットでも、フェザリングを使って、女の子を美しいショートライトで描き出すことができた。
OCF アダプターと アンブレラ トランスルーセント S を取り付けた Profoto A10 1灯で撮影。
透過光で手軽にやわらかい光を作り出すことができるアンブレラ トランスルーセントをぜひ色々と活用してみて欲しい。
撮影チーム:
フォトグラファー SHUN
モデル 渡辺 みあ(シュガーアンドスパイス)
スタイリスト 谷川 夢佳
ヘアメイク 本間 ひとみ
BTSフォトグラファー 谷川 淳
衣装協力 HOUGA