七五三撮影で使える Profoto A10 の技 (前編) | Profoto (JP)

七五三撮影で使える Profoto A10 の技 (前編)

23 12月, 2021

執筆者:: Nahoko Ando

ウェディングやファッションなど、一般の方の撮影からプロのモデルを被写体とした広告写真まで、幅広いポートレートを手掛けているフォトグラファーの SHUN。今回 Profoto A10 を使った実践的な技を紹介するために、七五三撮影を想定してひと組のご家族を撮影。居宅や神社での撮影を行った。

光が足りない状況や撮影しにくい環境であっても、プロとしてのクオリティを保つために必要な、Profoto A10 を使用した撮影テクニックを紹介する。

朝9時から七五三の着付けやヘアメイクを行い、撮影がスタート。早速、ワンカット目から見て行こう。

まず撮影場所に選んだのは、家の廊下。背景の本棚が写り込み家の雰囲気が伝わる場所だが、窓がない狭い廊下のためとても暗い。そこで、被写体向かって左側にある洗面所に Profoto A10 を設置し、白い天井を使ってバウンスさせることにした。

Profoto A10 を天井に向けて発光

「ISO 感度を上げて撮影してもいいのですが、少し不自然な色の写真になる場合も。写真に写らない部屋の一角をライトボックスに見立てて Profoto A10 を天井にバウンスさせ、まるでそこに窓があり、自然光が差し込んでいるかのような光を作りだしました。これはよく使う方法です」(SHUN、以下同)

Profoto A10 を使用して撮影した写真

Profoto A10 なしで撮影

その場にある環境を活かし、Profoto A10 を使って作り出した自然な光のおかげで、部屋の雰囲気を損なうことなく撮影ができた。ポーズも決まっている。

「男性の和装の場合は、大人でも子どもでも足を少し開くところから始めることが多いです。そのほうが堂々としているように見えて、和装に合うから。じっとするのが苦手なお子さんも多いので、足を開いたり腕を組んだり、遊びみたいな感覚で動いてもらったほうが、飽きずに撮影できると思います」

次に撮影を行ったのは、障子のある和室の部屋。窓から十分な光が差し込んでいるため、ストロボを使用しなくても、人物がきれいに撮影できる環境だ。

「この日は天気が良かったので人物に露出を合わせて撮ってもきれいに写ります。でも、後ろの障子に写る庭の木々の影がよくて、なくすのはもったいない。背景のほうが明るいため、子どもに露出を合わせると障子の影がなくなってしまいますし、逆に、影を残そうと思ったら人物の光量が不足してしまいます」

そこで Profoto A10 を被写体向かって右側の庭に設置し、窓からの自然光を補う形で撮影を行った。

Profoto A10 を外に設置。撮影時は障子を閉めてディフューズさせている。

Profoto A10 を使用して撮影。障子に影が映り、写真のポイントに。

Profoto A10 なしで撮影

「ストロボをベランダなど家の外に出して窓からの自然光を補う手法はよく使います。どの家でもレースのカーテンがついていることが多いので、それを使ってディフューズさせることが多いです。これは出張撮影などでよく使う方法ですね」

室内の撮影を終えて、今度は居宅の裏庭へ。木漏れ日がアクセントになっている背景だ。

「大人であれば、顔が明るく写るように細かく立ち位置を調整して撮影することができますが、子どもは細かい指示が難しい場合があります。今回は影に入った部分の光量をストロボで補うように、オンカメラで直接、光を当てました」

Profoto A10 を使用して撮影。

Profoto A10 なしで撮影

影の多い背景でも、顔にしっかり光があたり、手と足を広げた動きのあるポーズが魅力的。茶色の壁や黒の着物の中で、袂や家紋の白の鮮やかさが効いている。

そして次は玄関前へ。家族そろっての記念撮影だ。左手で Profoto A10 を持ち、直接被写体に照射。

「子ども一人で撮るときはオンカメラでもいいのですが、大人と一緒に撮るときはストロボ位置が低くなりすぎることが多く、あまり下すぎる位置からの光だと大人にきれいに光が当たらないため、手で持って調整しながら当てています。撮影によってはスタンドが立てられない場所も多いので、基本は手の稼働範囲で調整することが多いですね」

まずは、お母さんとの1枚。手を挙げて元気いっぱいの明るい表情。

Profoto A10 を使用して撮影

Profoto A10 なしで撮影

お父さんも一緒に入った3人での撮影がこちら。

Profoto A10 を使用して撮影

Profoto A10 なし

こうした記念写真の場合、全身をきれいに撮影するためのカメラ位置は、被写体の腰の少し上あたりがお勧めなのだそう。

「焦点距離にもよりますが、カメラ位置が被写体の頭より上だと頭が大きく、脚が短く見えてしまいます。また下すぎると足が長く、あご下回りの写り方も変わってしまう。腰より少し上の体の真ん中がすっきり撮影できるカメラ位置のポジションだと思います。今回は大人と子どもが一緒の撮影なので、バランスをとって子どもの着物の家紋のあたりから、撮影しました」

正装した姿も晴れやかで、年賀状や季節のご挨拶に使える特別な1枚になった。

そして次は、子どもが腕組みをして、どっしりと構えているシーン。

写真には写っていないが、右手から Profoto A10 を当てている

Profoto A10 を使用して撮影

Profoto A10 なし

「カメラ位置は一番下から撮影しています。これだけでも見え方が変わりますよね。ストロボなしの写真を見てもわかるように、向かって右の顔が明るくて、左側が少し暗い。自然光を活かし、この明るい方向からストロボを入れて光を加える方法です」

そして、居宅での最後のシーンは、お庭での家族写真。

Profoto A10 を使用して撮影

Profoto A10 なし

「パッと写真を見たとき、ストロボを使っていない下の写真は、右下の石垣や着物の裾、あるいは左上の障子の白飛びに目が行ってしまい、人物に目線が到達するまでに時間がかかりませんか? でも、人物に光を補ってあげた写真は、背景との明るさのバランスが良く、人物に目線が行きやすいですよね」

このシーンで人物を明るくするために露出を上げて撮ると、地面の緑色が跳ね返り、色かぶりした写真になってしまう。でもオンカメラでストロボの光をのせれば、その心配もない。まずは主役である被写体をしっかりきれいに見せることを考えて、全体のバランスを整えていくのが大切だ。

以上で居宅の撮影は終了。後編では、神社でのお参りのシーンで使えるテクニックを紹介する。

執筆者:: Nahoko Ando

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