素材の魅力とおいしさを伝える食卓の光 - Profoto A2(前編) | Profoto (JP)

素材の魅力とおいしさを伝える食卓の光 - Profoto A2(前編)

03 8月, 2022

執筆者:: Ando Nahoko

光を操り、鮮やかで瑞々しい食卓の風景を作りだすフォトグラファーの柳詰有香氏。京都にあるレストラン「monk」の料理が生まれるまでをドキュメントした写真集『monk : Light and Shadow on the Philosopher's Path』が2021年にイギリスのPhaidon社から出版されるなど、料理を中心に書籍や雑誌、広告などで活躍している。

Profoto A2Profoto Connect Pro、様々なライトシェーピングツールを活用しながら、シンプルな1~2灯ライティングで、柳詰氏が食卓風景の撮影を行なった。前編では柳詰氏のこれまでの活動について伺いながら、撮り下ろしの制作過程を紹介していく。

 

料理という被写体から、透明感のある世界観へ

写真集『monk : Light and Shadow on the Philosopher's Path』(Phaidon/2021年出版)

2004年にロンドンへ留学し、ビジュアルコミュニケーションデザイン学科で写真と出合った柳詰氏。帰国してWebの制作会社に就職するが、写真家・蜷川実花氏の個展で偶然アシスタント募集を見かけたことがきっかけで、写真の最前線に飛び込んだ。様々な現場を通して、仕事の仕方や写真家としての立ち振る舞いなどを学んだが、技術的な習得は、アシスタント時代の経験を活かしつつ、独り立ちをしてからも試行錯誤を続けた。

「独立してお料理の現場に興味を持ったこともあり、アシスタント時代の現場とは業界がまったく違いました。そこからは独学で、また一から現場で積み上げていったんです」(柳詰氏)

プライベートでシェフに密着し、食材選びや調理の過程、最終的な料理に仕上がるまでをドキュメントした作品集を制作。本にまとめてファッション誌などの営業に持参したところ、料理特集などで起用されるようになった。

それから徐々に専門的な料理誌の仕事にも繋がり、今度はその世界観でほかの被写体も撮影してほしいと、料理以外の撮影の仕事にも広がり現在に至っている。冒頭で紹介した写真集『monk : Light and Shadow on the Philosopher's Path』はこの作品集が元となり、出版されたものだ。

写真集『monk : Light and Shadow on the Philosopher's Path』(Phaidon/2021年出版)より

写真集『monk : Light and Shadow on the Philosopher's Path』(Phaidon/2021年出版)より

 

「信頼する編集者の方に『あなたの写真は透明感がいい』と言っていただいたことがあって。とてもありがたかったのですが、その透明感というのは光の表現のことをおっしゃっていただいているのだと思います。この5年ほどで自分の世界感が定まってきたのは、Profotoの機材と出会えたことが大きかったと思います」(柳詰氏)

それまでストロボを使ったライティングは、自然光をどう生かすかを考えてきたが、知人の紹介で Profoto A1 を使い始めてからは、光をどう作るかという考え方に変わったという。

「数日がかりで料理の本を撮影する場合などは、晴れの日も曇りの日もあり、時間帯も安定しない。自然光を中心に考えると仕事の幅が限られてしまうということに気づきました。そこからは自然光のような光をどう作ったらいいか、その光を超えるにはどうすればいいか、という明確な目的が見えてきたんです」(柳詰氏)

 

 

ではここからは、実際の仕事現場を想定して Profoto A2 とアクセサリーを使用して撮り下ろした写真と、その撮影方法を見て行こう。


素材が持つ美しさや彩りをシンプルに表現


まずは繊細なデザインが施された、さわやかなグリーンのグラスに光を当て、美しい影を作り出した。ライティングは、Profoto A2  (1灯) に Profoto Clic グリッド を取り付け、被写体の左奥から、直接照射している。

 

Profoto Clic グリッドは 10°と20°を用意。10°だと光が強すぎると感じたが、20°はやわらかすぎず、影がほどよくきりっと締まった。

グラスの影だけでなく、被写体の前に植物の影を入れることで、自然な揺らぎの模様を生み出している。

 

次は、先ほどのライティングにもう 1灯加え、2灯ライティングで撮影した。さまざまなグラスや器のコンポジションが絶妙なシーン。テーブルには美しい色の影が広がっている。

「被写体にライト1灯を直接当てる場合、光が少し固く、かっこよくなりすぎる場合があります。そんなときは、ライトをもう 1灯、天井バウンスさせて、全体に回す光を足しているんです。その入れ具合で作りたい世界をコントロールするのが、最近のライティングのベースになっています」(柳詰氏)

レフ板でライトの一部をさえぎり、写真右上に斜めの影を入れている。うっかり入ったような作為的でない影で自然な印象に。

1灯は被写体に直接当て、もう 1灯は天井にバウンスさせた。レフ板で遮って作った影の線がくっきり出すぎないよう、レフ板とライトとの距離を調整している。

 

次のシーンは、オレンジや黄色の器やグラスと、赤い実がつやつやとみずみずしいザクロを写した。この写真は、Profoto Clic グリッド をつけた Profoto A2 1灯で撮影している。

 

素材と光の相性によっても写真は変わってくるという。被写体によっては、グリッドを付けたストロボ 1灯を直接当てると強くなりすぎてしまう場合も。

「でも今回は、つやつやのザクロと光の相性がすごくうまくいきました。私の好きな透明感を表現できました。食材って生き物だなって思うんです。色や素材でまったく見え方が変わる。たとえば同じスイーツでも、やわらかくてつるんとしたフルーツと焼き菓子みたいなものは違う。食材が変わるごとに、ライティングもほんの少しニュアンスを変えていくのが良いですね」(柳詰氏)

スタイリストと相談しながら素材を選び、配置を決めていく。

 

今回は Air リモートに Profoto Connect Pro を使用して撮影を行った。Connect Pro は、カメラ位置から個々のストロボの設定を行えるため、ライトまで移動して確認する手間がない。ディスプレイも大きくて見やすく、簡単で操作しやすいのが魅力だ。 

「ちょっとした光の雰囲気の違いを常に細かく調整しているので、カメラ位置で数値を変えられるのはすごく便利です。それに、やや高めの位置にライトを配置することが多いので、ライト側での調整だとその都度、手間がかかってしまいます。少しのズレでも写真の雰囲気が変わってしまうため、ライトをまったく触らずに、カメラ位置から設定を変えられるのはよかったですね」(柳詰氏)

カメラのホットシューに取り付けた『Profoto Connect Pro』 Canon/ Nikon/ Sony/ Fujifilm/ Leica/ Non-TTL用がある。(Sony用、Leica用は 2022年11月頃発売予定)

Profoto Connect Pro は、iPad/ iPhone/ Androidスマートフォンのアプリ『Profoto Control』 でミラーリング可能。様々なデバイスからライティングの設定を調整することができる。

 

続いて後編 では、動きのある表現と光の陰影と空間を演出したシーンを紹介する。

 

 

クリエイティブチーム:

フォトグラファー:Yuka Yanazume
フードスタイリスト・料理家:Hiroko Takenaka
アシスタント:Eri Masuda
BTS フォトグラファー:Jun Tanikawa
ライター:Nahoko Ando

 

執筆者:: Ando Nahoko

このストーリーで使用された製品

Profoto Connect Pro

究極のコネクティビティを実現するトランスミッター
¥59,950 から